娘に注ぎ込んだ愛情とお金…妻の心によぎる不安も「聞けなかった」
娘には何でもしてあげたい――そんな思いから、中村さんは娘が欲しがるものを躊躇なく買い与え、習い事は複数かけもち。駅近の新築マンションを購入し、中学校への進学では「より良い環境を」と私立を選択しました。
一方、妻の理恵子さんは小さな不安を覚えていたといいます。中村さんの収入が一般より高いことは聞いていました。また、理恵子さん自身、社会との接点を持つという意味もかねて、週3回パートをして、家にお金を入れていました。
しかし、私立の学費にマンションのローン、惜しみなくかけるお金。少し使い過ぎなのでは――?
とはいえ、家計管理は中村さんが担っており、理恵子さんは詳しい内訳を知りません。「大丈夫だよ」と笑って言う夫の言葉に、結局、言葉を飲み込み続けてしまったのです。
ところが、中村さんが55歳になると、役職定年で年収は600万円に激減。中村さんは理恵子さんにその事実を告げることはありませんでした。頼れる父でいたいという気持ちが、支出を見直す判断を鈍らせてしまったのです。
そして、中村さんは60歳に。娘が私立大学へ進学する年。独身時代の貯金はすでに底をついていました。
受け取った退職金2,500万円は娘の大学資金や住宅ローンの返済をすれば、すべて消えることに。60歳以降は継続雇用になり、収入はさらに減少します。
「どうやっても家計が回らない」「老後資金どころではない」という逃れられない現実に、ついに直面したのです。
とうとう訪れた限界と告白…夫婦が決めた覚悟
もう隠し通せない――そう感じた中村さんは、ついに理恵子さんへ家計の実情を打ち明けました。
理恵子さんは「どうして何も言ってくれなかったの……」としばし絶句。責める言葉もありましたが、責め続けても現実は変わりません。その日、夫婦は初めて家計について真正面から話し合いました。
中村さんは、この先65歳になっても仕事を辞める気はなく、可能な限り働き続けると宣言。理恵子さんはパートの日数を増やし、「できれば社員になりたい」と働き方を模索することに。また、駅近の自宅マンションを売り、安いマンションに住み替える・賃貸に引っ越すことも検討することにしました。
晩婚・晩産の家庭では、こうした “老後と教育費のピークが重なる問題” が起こりやすくなります。40代で子どもが生まれると、大学進学時には親は50代後半~60代。年金生活の前後と教育費のピークが重なってしまうのです。
もちろん晩婚・晩産そのものが問題なのではありません。準備不足こそが家計を追い詰めていくのです。年齢に引け目を感じて無理をするのではなく、現役時代が短いことを考慮して、現実的な家計計画を早めに立てること。そして、それを家族で共有することが大切です。
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