妻を亡くした年金暮らし69歳男性の「運命の出会い」
「今回ばかりは孫に助けられました……」
そう肩を落とすのは、高橋和夫さん(仮名・69歳)です。年金は月14万円。妻を5年前に亡くし、貯蓄は約1,800万円。週に数回、警備のアルバイトをしながら、贅沢をしなければ問題なく暮らせる老後を送っていました。
高橋さんは同世代のなかでは背が高く、自称“ハンサム”。「若い時は女性が寄ってきたもんだ」と、武勇伝を周囲に語ることもしばしばでした。新しいもの好きで、スマホを使いこなし、SNSにも抵抗はありません。
そんな高橋さんが、大学生の孫の話をきっかけに興味を持ったのがマッチングアプリでした。妻を亡くしてからの生活に、言いようのない寂しさを感じていたのも事実です。
軽い気持ちで登録し、10年以上前の写真を使って「いいね」を押していくと、数日後、ひとりの女性から返事が届きました。40代後半だという女性は、写真も文章も穏やかで、「年上の方が安心します」という一言も。
やりとりはアプリからLINEへ移り、毎日続きました。日々の暮らし、趣味、お金の使い方……高橋さんは本気で運命を感じたといいます。
転機は、娘と孫が住む家に食事をしに行ったときでした。
「おじいちゃん、変わったことない?」と孫に聞かれ、つい浮かれてこう言ってしまったのです。
「じいちゃんな、もしかしたら再婚するかもしれないぞ」
すると、孫の表情が変わりました。知り合った経緯を伝えると、きっぱりと言われたのです。
「それ、詐欺だよ。こんな綺麗で年が離れている人がおじいちゃんを好きになるわけないじゃん。嘘でしょ、なんでわからないの?」
ずいぶんな言いようでしたが、高橋さん自身、心のどこかで感じていた違和感でした。孫の隣では、娘も頭を抱えています。
高橋さんは、それでも完全に詐欺だとは信じ切れません。そこで、「家族に詐欺だと疑われている。金銭目的でないなら直接会って話がしたい」といった内容をLINEで伝えると、とたんにブロック。連絡はあっさり途絶えました。
