前回は、遺族年金制度の概要をお伝えしました。今回は、遺族年金を受給するための手続きを見ていきます。 ※本連載は、公認会計士・税理士の御旅屋尚文氏、司法書士の池田秀樹氏、特定社会保険労務士の柳勉氏の共著『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)の中から一部を抜粋し、家族が亡くなったときに発生するさまざまな手続きについて解説します。

国民年金と厚生年金で、受給の要件は大きく異なる

「遺族年金」は働き手を失った家族に支給される年金です。故人が国民年金か厚生年金のどちらの年金に加入していたかによって、年金を受けられる人やその受給金額に違いがあります。どの年金に該当するのかを確認し、受給手続きを行います。

 

*遺族年金受給の要件

・遺族年金の請求ができるのは、故人に生計を維持されていた人でなければならない

・遺族年金受給権者の年収が死亡当時850万円未満である(ただし、死亡時点で年収が850万円以上であっても5年以内に年収が850万円未満になると認められた場合は対象となることもある)

 

*遺族基礎年金を受給できる人

・故人が国民年金に加入していた子どものいる妻や夫、または子

 

*遺族厚生年金を受給できる人

・故人が厚生年金に加入している(あるいはしていた)人は、遺族基礎年金と合わせて遺族厚生年金が受給できる対象となるのは①妻、子、55歳以上の夫 ②55歳以上の父母 ③孫 ⑤55歳以上の祖父母

遺族年金受給に必要な書類と請求先

遺族年金の受給に際して最初にすることは、死亡届を提出することです。具体的な手続きは以下のようになります。

 

*故人が現役の加入者だった場合

・国民年金の加入者は「国民年金被保険者死亡届」を市区町村の役所に提出

・厚生年金の加入者は会社を通じて「資格喪失届」を提出

 

*故人が年金受給者だった場合

・「年金受給権者死亡届」を年金事務所に提出

ここまでは、遺族年金を受け取る場合だけではなく、亡くなった方すべてに必要な手続きです。

 

*請求について年金事務所等に相談してみましょう

・遺族年金は故人の加入している年金によって請求するところや請求書類に違いがあるので、年金事務所や年金相談センターなどに相談してみるとよいでしょう。

・その際には・死亡が確認できる書類、・故人の年金手帳、・故人との関係がわかる書類を持参します。

 

*遺族年金の請求先

・遺族基礎年金のみを請求する場合は、故人の市区町村の役所の窓口ですが、それ以外は年金事務所が窓口になります。

 

*請求の際の必要書類

・遺族給付裁定請求書 ・戸籍謄本 ・死亡診断書 ・住民票 ・住票(除票) ・所得証明書 など

 

ここがポイント

遺族年金は、故人が加入していた年金によって受給できる方や金額に違いがあります。どの年金に該当するのかを確認して、請求手続きをします。必要書類なども年金事務所等に相談しましょう。

本連載は、2016年12月11日刊行の書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

御旅屋 尚文,池田 秀樹,柳 勉

神宮館

シニア世代必読! 大切な家族が亡くなったとき、今までに経験したことのないような深い悲しみと同時に、膨大な手続きをしなければなりません。 本書では大切な家族が亡くなった後に行う葬儀・法要の流れから、年金・保険・名…

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