前回は、公的保険に加入していれば受け取れる、葬祭費と埋葬料の申請方法を説明しました。今回は、遺族が受け取れる公的年金についてお伝えします。 ※本連載は、公認会計士・税理士の御旅屋尚文氏、司法書士の池田秀樹氏、特定社会保険労務士の柳勉氏の共著『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)の中から一部を抜粋し、家族が亡くなったときに発生するさまざまな手続きについて解説します。

まずは個人がどの公的年金に加入していたのかを確認

日本に居住する20歳以上60歳未満のすべての国民は、原則として公的年金に加入しています。公的年金には「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」があり、会社員や公務員は、国民年金だけではなく厚生年金にも同時に加入しています。

 

公的年金は通常65歳から受け取ることができますが、そのためには受給資格期間を満たしていなければなりません。受給資格期間は、保険料を納付した期間と保険料の免除を受けた期間を合わせて、25年(300ヵ月)以上が必要です。給付は「老齢給付」「障害給付」「遺族給付」の3種類です。

 

*公的年金の種類と内容

・老齢基礎年金…65歳から受け取れる

・障害基礎年金…病気あるいはその障害により受け取れる

・遺族基礎年金…加入者が亡くなったときに配偶者やその子が受け取ることができる

 

遺族基礎年金は、亡くなった方が年金加入中であれば、遺族に対する支給に問題はありませんが、そうでない場合には受給資格期間が大きなポイントになることもあります。

 

年金の受給資格期間には、場合によっては経過措置や特例措置が設けられていることもあるので、受給資格期間が足らないと思うようなときにでも、一度年金事務所あるいは年金相談センターへ問い合わせてみるとよいでしょう。

故人の年金番号を確認し、最寄の年金事務所に相談する

亡くなった方が加入・受給していた年金の種類によって、遺族が受給できる年金には違いがあります。故人がどのような年金に加入していたのか、どのくらいの期間年金を納めていたかを知ることで、受給できる年金や一時金の請求手続きが違ってきます。

 

故人がすでに年金を受給していた場合には、年金の受給停止と未支給の年金を受給する手続きをします。

 

*遺族が受給できる年金・一時金

・故人が国民年金に加入していた場合……受給できる年金・一時金は、遺族基礎年金か寡婦年金、死亡一時金(国民年金保険料を36ヵ月以上納めていること。)のいずれか一つ

・故人が厚生年金に加入していた場合……遺族厚生年金、遺族基礎年金、中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算の該当するものすべて(国民年金が第2号被保険者であるか第3号被保険者であるかによっても違う)

・故人が老齢基礎年金受給者であった場合……遺族基礎年金

・故人が老齢厚生年金受給者であった場合……遺族厚生年金、遺族基礎年金、中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算の該当するものすべて以上が遺族が受給できる主な年金ですが、これらは受け取る遺族の側の条件によっても違うので、年金事務所などでの確認が必要です。また要件に該当しても、それぞれ請求期限があるので、できるだけ速やかに手続きを行うようにしましょう。

 

年金事務所へは、いきなり行くのではなく、故人が加入していた年金の種類などを事前に問い合わせると時間の節約にもなります。

 

問い合わせのときには故人の年金番号が必ず必要となります。

※図中のページ番号は書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)でのページ番号に該当します。

★ここがポイント

遺族は故人がどの年金に加入していたのかを知ることが大切です。それによって受給できる年金に違いがあります。受給資格期間の確認を含めて、最寄りの年金事務所に相談するとよいでしょう。

本連載は、2016年12月11日刊行の書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

御旅屋 尚文,池田 秀樹,柳 勉

神宮館

シニア世代必読! 大切な家族が亡くなったとき、今までに経験したことのないような深い悲しみと同時に、膨大な手続きをしなければなりません。 本書では大切な家族が亡くなった後に行う葬儀・法要の流れから、年金・保険・名…

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