AI時代にこそ必須…世界を視野に入れる経営者が損しないための、「国際税務」入門【税理士が解説】

AI時代にこそ必須…世界を視野に入れる経営者が損しないための、「国際税務」入門【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国をまたいだ経済取引に伴って発生する税務のことを、「クロスボーダー税務」といいます。個人におけるクロスボーダー税務は、日本の法律を起点として考えますが、国と国のあいだで結ばれている「租税条約」というルールによって修正される場合があります。そこで今回は、国際税務に関心がある人に向けて、実務でよく出てくる基本の流れ――居住地や所得源泉地の判定、日本の法律における課税所得の決め方、そして租税条約の適用までの一連の流れを、税理士がわかりやすく解説します。

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租税条約の適用検討

国内税法によって課税関係を確定したあと、租税条約の適用を検討します。

 

1.租税条約が国内法に優先する理由

日本は、国際条約を誠実に遵守する必要があるという憲法上の原則(憲法98条2項)に基づき、租税条約の規定は国内法に優先して適用されます。

 

2.租税条約の主な機能と必要性

租税条約の主目的は、国際的な二重課税(法的二重課税*)の排除です。二重課税は、所得を得た人の居住地国(居住地国課税)と、所得が生じた国(源泉地国課税)がそれぞれ課税権を行使することで発生します。

 

租税条約は、源泉地国が課税できる所得の範囲や税率に制限を設けたり、免税を規定したりすることで、国内法が定める課税権を制限または軽減し、二重課税を未然に緩和・排除します。

 

*法的二重課税 同じ納税者の同じ所得に対し、同じ期間について2つ以上の国が課税すること
 

3. 租税条約による国内課税関係の修正

租税条約の適用対象となる者(締約国の居住者)である場合、条約の規定に従って国内法上の課税関係が修正されることがあります。

 

・源泉徴収税率の軽減/免除:配当、利子、使用料など投資所得については、源泉地国での税率上限(限度税率)が設定されることが多いです(10%等)。また、一定の要件を満たす短期滞在者の給与所得は、源泉地国での課税が免除される規定(短期滞在者免税)があります。また、退職年金やその他所得*などについて、居住地国のみが課税できるという規定を置く条約も少なくありません。この免除や軽減を受けるためには、原則として「租税条約に関する届出書」を提出する必要があります。

 

・国内源泉所得の国外源泉所得への「置き換え」:国内法では「国内源泉所得」と規定される所得であっても、租税条約の規定により相手国で課税できることとされた所得は、外国税額控除の計算上「国外源泉所得」として扱われます。

 

必要性:たとえば、内国法人の役員が国外勤務する場合、役員報酬は法人所在地国で生じた所得とされるので、国内法上は勤務地に関わらず国内源泉所得とされます。役員報酬も給与に該当するので、勤務地国でも課税されて二重課税となりますが、そのままでは控除限度額計算式の分子に入る国外所得がないので、控除限度額がゼロとなり外国税額控除が適用できません。そこで、勤務地国でも課税されるこの役員報酬を、条約の規定により国外源泉所得と「みなし」て、控除限度額計算式の分子に入れ、控除限度額を発生させることで、二重課税の排除を可能にしています。

※ その他所得……租税条約の「その他所得」は、他の条文で個別に規定されている所得に該当しない雑所得的なもの。多くの租税条約で、「その他所得」は居住地国のみが課税できるというルールを採用している。

 

 

このように、租税条約は国内法で確定した課税関係を修正し、二重課税を防ぐための重要な役割を果たしています。

 

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次ページ最終的な二重課税の排除(外国税額控除)
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