ずっと岩手で暮らしてきた80代老母と東京暮らしの息子…呼び寄せ・Uターンではなく“遠距離介護”を選択した「納得の理由」

ずっと岩手で暮らしてきた80代老母と東京暮らしの息子…呼び寄せ・Uターンではなく“遠距離介護”を選択した「納得の理由」
(※写真はイメージです/PIXTA)

田舎で暮らす親が要介護状態に。心配だから自分の元に呼び寄せたり、あるいは、自分がUターンしたり……。こうした選択は一見「親にとっても自分にとってもよいこと」に見えて、実はそうとも言えない。なぜでしょうか? 本稿は、岩手に暮らす認知症の母(82歳・要介護4)を、東京から通いで支えて14年。介護作家・ブロガーとして活動する工藤広伸氏の著書『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』(翔泳社)から、一部を抜粋・再編集。離れて暮らす親を支える「遠距離介護」という視点から、呼び寄せやUターンのポイントをご紹介します。

呼び寄せ・Uターンは親と子、双方にダメージ。子の不安解消より「親の意思」を尊重する

「呼び寄せ」や「Uターン」を選ぶ1番の理由は、子の不安解消です。親の健康状態をすぐに確認でき、緊急時にも迅速に対応できるため、子は安心感を得られます。

 

しかし「呼び寄せ」をすると、高齢の親は見知らぬ環境で生活を始めることになります。定期的に通院していた病院へ通えない、仲のいいご近所との関係を失う、方言が違うなど日常生活への影響は大きいものです。もしも変化に適応できず、引きこもりがちになると、認知症やうつ病のリスクが高まる可能性があります。

 

一方「Uターン」は、子が地方で転職先を探す必要があります。介護が本格化する40代以降で、新たな仕事先や十分な収入が確保できるか、慎重に検討すべきです。また子の過度な世話により、親の自立を奪って心身を弱らせてしまうこともあります。

工藤さん家の場合…親子それぞれの意思を尊重した遠距離介護

私が遠距離介護を選んだ理由は、母は82年間岩手以外の場所で生活したことがなく、私は18歳から東京で生活していて、お互いの今の生活を守る最善策が何かを考えた結果、自然と遠距離介護になりました。

 

重度の認知症でも、母が自宅で生活できているのは、長年住み慣れた家だからですし、同居による介護負担の増加も避けたかったので、遠距離介護は私たち親子にとってベストな選択でした。

 

【押さえておきたいポイント】

■ 親を呼び寄せた結果、子の家に順応できずに引きこもり、認知症やうつ病などを発症する可能性がある。

■ 子である自分の不安を解消するためにUターンする場合は、転職先が見つかるかだけでなく、収入減にならないかまで考える。

■ 遠距離で在宅介護を続けていれば、特別養護老人ホームの入居優先順位は上位をキープしやすい。

 

次ページ呼び寄せ・Uターンが必要な場合もある

※本記事は、工藤広伸氏の著書『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』(翔泳社)より一部を抜粋・再編集したものです。

工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント

工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント

工藤 広伸

翔泳社

忙しい団塊ジュニア世代の方へ「遠距離介護」の決定版です! 本書は、離れて暮らす「高齢の親のこれから」や「親の介護」を不安に思う方のため、Voicyやブログで大人気の工藤さんが描き下ろしたさっと読める実践ヒント集で…

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