(※写真はイメージです/PIXTA)

令和7年版『高齢社会白書』によると、65歳以上の者がいる世帯のうち、20.2%(約543万世帯)が「親と未婚の子のみ」で構成されているとされています。子育てを終え、「これからは夫婦水入らずで穏やかな老後を」と願う高齢世帯にとって、思わぬ壁となるのが“中高年の子どもの帰還”です。離婚や失職をきっかけに、実家へ戻ってくる40〜50代の子。最初は「一時的な同居」のつもりが、気づけば家計や心身の負担を圧迫されていた――。そんな現実に直面する老夫婦は、決して少なくありません。

「生活保護でも…」と漏らす長男

さらに不安なのは長男・学さんの存在でした。

 

40代後半になっても無職のままで、職業訓練や就労支援にも消極的。ある日、彼はこうつぶやいたといいます。

 

「もう働くのは無理かも。生活保護でも受けようかな……」

 

しかし、実家暮らしの場合、世帯分離が難しく、親の年金収入が一定以上あれば生活保護の対象にならないことが多くあります。斉藤家もそれに該当し、支援を受けることは困難でした。

 

「どうしてもと言うなら家を出ていくしかない。でも、あの子が外で一人暮らしできるとは思えません」

 

啓子さんは、複雑な心境を明かします。

 

正雄さんは最近、家の中でテレビを見ることすら減りました。孫の勉強時間にかぶらないように、音量を最小限にし、2階には「気を遣って上がらない」生活が日常となりました。

 

「この家、もともと私たち夫婦のものだったのに……。なんだか、自分の家じゃないみたいです」

 

啓子さんは、静かにそうつぶやきました。

 

「孫はかわいい、子どもも心配。でも、このままずっと“支え続ける”のかと思うと……自分の最期をどう迎えればいいのか、不安になります」

 

「子どもを見捨てることはできない」と思うのは、多くの親にとって自然な感情です。しかし、それが何年も続くことで、老後資金が枯渇し、自らの生活や健康まで脅かされることもあります。

 

親の資産があるうちは支えられるかもしれませんが、年齢とともに介護や医療の問題も出てきます。「いつか出ていく」「そのうち働く」という“先送りの言葉”に、親世代がどこまで付き合うか――老後の安心を守るためには、家族間でも現実的な線引きが必要なのかもしれません。

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録