「不満を感じてもしかたない」姉妹にかけた大学費用の差
このような不公平は、きょうだい間のわだかまりを生みやすい典型例です。
「上の子には仕送り、下の子にはなし」
「兄には住宅援助、弟にはゼロ」
こうした差は、親が思う以上に深い傷を残すことがあります。そして介護や相続といった“親の弱り目”に噴き出すことも。
誠司さんは古い通帳や亡き妻が残した家計簿を見返しました。古い記録ゆえ完璧に把握できたわけではありませんが、瑞希さんには私立大学4年間で少なくとも750万円(うち仕送り380万ほど)。美和さんは公立大学で約250万円。大きな差があったことだけは明らかです。
「これじゃ、不満を持っても仕方がない。あの当時は自分たちも生活に必死で、下の娘の気持ちを真剣に考えてあげられなかった」
誠司さんは、過去に自分が生んでしまった姉妹の不平等と向き合い、いくつかの決断をしました。
・「要介護認定」を受けて、できるだけ介護サービスを使い、娘たちの負担を最小限にする
・それでも近くにいる美和さんの負担が大きくなることを考慮し、大学費用の差分も踏まえて美和さんに多めに遺産を残す
・遺産について正式な遺言書として明記する
そして何より大切なこととして、進学の際に気を配れなかったこと、不公平を感じさせてしまったことを、美和さんに率直に詫びました。
その後、家族3人で腹を割って話し合いました。美和さんは「できる範囲で手伝う」と前向きな姿勢を見せ、瑞希さんも週末のサポートを申し出ています。
お金は、家族をつなぐことも壊すこともある
今回のケースは和解へと進みましたが、ひとつ間違えれば修復不能な対立になっていた可能性もあります。
本来、完全に平等とはいかなくても「どちらかが明確な不満を抱えるほどの差」が出ないように、親が準備し、計算しておく必要があったといえます。格差が生じれば、残された子ども同士の関係に影を落とすことになりかねません。
子どもが複数いるのであれば、お金をどう準備して、どう使うかの計画を、よりきちんと考えて実行すること。それでもやむを得ず予定通りにいかなかった場合、どう説明し、どう愛情を示すか。これらを怠らないことが大切だといえます。
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