取り返しのつかないことになるケースも
生前整理には、家の中の不要な物を減らして部屋をスッキリさせたり、万一の時に子どもに迷惑をかけないようにしたり、場合によってはお金に換えたりできるメリットがあります。
しかし、生前整理は「人生を見つめなおす行動」とも言われます。処分する前に夫婦で「これは本当に捨てるべきか」をきちんと話し合わなければ、夫婦の中がぎくしゃくしてしまうことも十分にあり得ます。
これは生前整理だけに限らず、現役世代の「捨て活」「断捨離」も同様です。部品を失いボロボロになった模型のように第三者から見れば価値がない物でも、持ち主にとっては深い思いが込められていることも多いのです。
そのため、下記のような点に注意しながら進めることが大切です。
・勝手に処分しない…どんなに不要に見えても、必ず持ち主に確認すること。
・感情的価値に理解を示す…「使っていない」「古いから」だけで判断しないことが大切。
・処分を急がない…持ち主が納得するまで時間をかけること自体が生前整理のプロセス。
「もし勝手に捨てて事後報告をしていたら、夫婦関係は取り返しのつかないことになっていたかもしれません」
そう振り返る良子さん。その後、良子さんは自分の気持ちが至らなかったことを隆さんに謝り、話し合いながら一つ一つ整理していくことにしました。
それまで良子さんの頭の中にあったのは、とにかく処分することでした。しかし、何を大切に残すかを考えることで、夫婦の会話も増え、今まで気づかなかった隆さんの気持ちにも気づくことができたのです。
ただ物を減らすことだけを考えるのではなく、心地よい整理を意識すること。それが、生前整理の最大の目的といえるでしょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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