企業の外国人労働者の採用ニーズは高まりつつあるが…
近年、経済のグローバル化の波は激しさを増すばかりです。政府は、「観光先進国」への新たな国づくりに向けて、動き出しています。訪日外国人観光客数の目標人数を2020年に4000万人、2030年に6000万人とすると上方修正したばかりです。
一方、観光のみならず、企業経営においても、今までのアウトバウンド施策のみならず、インバウンド施策に重点が置かれるようになってきました。これに伴い、当然、日本国内における就労を目的とする在留外国人の数もここ数年右肩上がりで増加しています。
しかし、企業における外国人労働者の採用ニーズの高まりに比例して、不法就労等の社会問題も増加傾向にあるのもまた事実です。使用者側の知識不足がたたって、日本人を採用するような感覚で不法就労外国人を雇用してしまえば、当然、事業主にも罰則が適用されます。今後、外国人の雇用を考える事業経営者には、外国人雇用に関する最低限の知識の習得と、適正な手続きが求められています。
外国人雇用に関して会社に課されたルールは多い
さて、企業が外国人を採用しようとした場合、日本人の採用と同様に面接をして雇用契約書を交わせば、次の日から仕事をしてもらえるかと言われれば、そうではありません。入管手続きを経て、就労の在留資格が許可されて初めて社員として報酬を得て働くことが許されます。
また、就労の在留資格が付与されていれば、日本人の総合職のようにどんな仕事でもさせられるのかというとこれもそうではありません。日本に在留する外国人は、決定された在留資格の許容する範囲を超えた活動を行ったり、活動内容を勝手に変更して報酬を伴う活動を行うことはできないのです。
日本の外国人受入れ政策は、あくまで専門的、技術的なスキルを持つ外国人の受け入れです。単純労働を行わせるために外国人を採用するといった目的ではありません。例えば、清掃員、販売員やウェイトレス、コンビニ店員、工場内の作業員などで外国人を採用しようとしても、これら単純労働に見合う在留資格はありません。許可がおりないということは、そのような単純労働に就かせることはできないということになります。
したがって、外国人が既に有する在留資格とは別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合には、「在留資格の変更手続」を行い、法務大臣の許可を受けなければなりません。そして、在留資格とともに決定された在留期間を超えて在留したい時には、「在留期間の更新手続」が必要となります。その都度、入国管理局へ提出する書類も多岐にわたります。
以上のように、入管法の手続きはとても複雑です。過去にも外国人労働者を受け入れてきた大企業ならまだしも、初めて外国人を採用しようと考えている中小企業の経営者や人事担当者にとっては、避けて通れない手続きではあれど、意外とややこしい内容です。
しかし、外国人が日本で適正に就労できるよう雇う側が守らなければいけない手続きやルールは多く存在します。
今後このコラムを通して、これから外国人の採用を進めていきたいとお考えの方々に、外国人を雇用するうえで押さえておきたい基本的な事柄をお届けできればと考えておりますので、ご興味のある方は是非お読みいただければと思います。