数字と現実のギャップ
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2024年)』によれば、70代夫婦世帯の貯蓄額中央値は700万円、平均値は1,757万円。これは金融資産を一切保有していない世帯を含む額ですが、保有している世帯のみに絞っても、中央値は1,100万円、平均値は2,188万円です。中山さん夫妻のような4,000万円という水準は、上位層にあたります。
しかしその「数字の豊かさ」は、必ずしも「心の豊かさ」につながるわけではありません。
「これから病気になるかもしれないし、介護施設に入ることになったら、どれだけかかるか分からない」
中山さんはそう言って、ため息をつきました。
「でも、最近は考え方が少し変わってきたんです。病気になったらそのとき考えればいい。元気なうちに、夫とどこか行ってみたいなって。今さらですけど」
節約し、備えることはもちろん大切です。しかし、「何のための節約か」「いつ使うのか」を見失えば、それは“空虚”を生むリスクもはらんでいます。
「節約してきた意味はあったのか」——その問いは、資産額ではなく、“老後をどう生きたいか”という本質を問い直すものかもしれません。
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