(※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年時代といわれる今、60代も「現役世代」として働き続ける人が増えています。一方で、家計の構造はそのまま――。長年「大黒柱」として家庭を支えてきた男性が、定年前にして“自分の自由になるお金がほとんどない”という事実に直面するケースもあります。今回は、都内在住・年収850万円の会社員・坂井俊彦さん(仮名・62歳)が直面した「家計の現実」と、それに至るまでの背景を見ていきます。

定年後に自由になる人と、失う人の違い

「定年後、夫婦で旅行を」――そんな言葉が理想として語られることも多いですが、実際には定年後に夫婦関係が悪化するケースもあります。

 

背景にあるのは、「経済的な依存関係」や「お金の主導権」の偏りです。特に長年“お小遣い制”に慣れてきた夫が、退職後に年金や退職金の管理も妻に握られたままという構図も少なくありません。

 

退職金についても、税金の控除額や受け取り方(分割 or 一括)によって手取りが大きく異なるため、計画的な運用が求められます。

 

坂井さんは現在、勤務先が推奨するファイナンシャルプランナーとの個別相談を受け、「家計を“見える化”することからやり直そう」と考えています。

 

「別に、妻を責めたいわけじゃないんです。でも、自分がこのまま定年を迎えていたら……今頃、本当に“自分の人生って何だったんだろう”って後悔していたかもしれません」

 

坂井さんは、今月から家計簿アプリを使って家の支出を“自分の目で確認する”ようになったといいます。週末には妻と一緒に、将来の住まいの話や資産の使い方について話し合う時間も持つようになりました。

 

「遅かったけれど、気づけてよかった。あと何年働けるかわからないけれど、自分の意志で人生を選べるようになりたいですね」

 

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