(※写真はイメージです/PIXTA)

ひとり暮らしの高齢者が増える中、「親が元気そうにしていたのに、ある日突然…」という事例は少なくありません。特に認知症の兆候や生活の困窮は、当事者が自覚しにくいまま進行し、異変に気づいたときには深刻化しているケースもあります。

「お願い、助けて」…真夜中の着信

「最初、夢かと思いました」

 

そう話すのは、会社員の青木真帆さん(仮名・46歳)。その日、時刻は午前2時。スマートフォンが鳴り響き、相手は都内で独り暮らす母・美代子さん(仮名・81歳)でした。

 

「お願い、助けて…」

 

受話器越しの母の声はかすれており、何を言っているのかよく聞き取れませんでしたが、とにかく“普通ではない”と感じた真帆さんは、タクシーで30分ほどかけて母の自宅に駆けつけました。

 

母の自宅に到着すると、玄関のドアは鍵がかかっていませんでした。恐る恐る中へ入ると、部屋の中は足の踏み場もないほどに物が散乱し、床にはコンビニ弁当の容器や空のペットボトル、レシートなどが積み上がっていました。

 

「母が台所の床に座り込んでいて、呆然とこちらを見ていました。手は震え、服も汚れていて…一瞬、何が起きたのかわからなくて。『何があったの?』と声をかけながら、心の中ではパニック状態でした」

 

美代子さんは、数日前から体調が優れず、食事もままならない状態だったそうです。しかし、病院に行くこともできず、家の中は次第に荒れ始め、自分でもどうしていいかわからなくなっていたといいます。

 

真帆さんは翌日、母を連れて病院へ。検査の結果、大きな疾患はなかったものの、「軽度認知障害(MCI)の可能性」と医師から指摘を受けました。

 

「最近は日付の感覚があいまいになっていたり、ガスをつけっぱなしにしていたりすることがあったのは気づいていたんです。でも、本人はいたって元気だと思い込んでいて、生活の細かい部分に支障が出ているとは想像していませんでした」

 

部屋のゴミや異常な物忘れ、同じ食品の買い置きなどは、認知機能の低下やうつ状態のサインであることも多く、介護の現場でも「気づきにくい異変」として知られています。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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