「赤い封筒」は“警告”。放置すると差押えへ
日本の年金制度は、すべての20歳以上60歳未満の人が対象となる「国民年金(基礎年金)」を1階部分とし、会社員や公務員が加入する「厚生年金保険」を2階部分とする“2階建て構造”です。
たとえば自営業・学生・無職などで厚生年金に加入していない人は、国民年金に加入し、保険料を納める義務があります(国民年金法第88条)。「払わなくても受け取れないだけだから」といった誤解は、リスクを招く元になります。
保険料の納付期限は対象月の翌月末。期限までに支払いがないと、「納付勧奨」がおこなわれ、年金機構や民間の委託業者から電話・文書での案内が届きます。
それでも対応しないと、「特別催告状」が段階的に送られてきます。この際、封筒の色が変化していくことがあります(例:青→黄→赤)。この「赤い封筒」が届いた段階は、かなり深刻な状況と捉えるべきでしょう。
ただしこの封筒の色分けは全国一律ではなく、地域や運用によって異なる場合もあります。
「特別催告状」を放置したままにしていると、次に届くのは「督促状」。それでも納付がない場合、「差押予告通知書」が届き、財産の差押えが実行されます。さらに、扶養関係にある連帯納付義務者(世帯主・配偶者)にも同様の書類が届くことがあります。
実際、日本年金機構の公表によると、2024年(令和6年)9月末時点で「差押執行件数」は1万909件に上ります。差押えは、もはや“特別な話”ではありません。
「そもそも経済的に払えない…」という場合もあるでしょう。そうした人のために、国民年金には「保険料免除・納付猶予制度」が設けられています。
たとえば、所得が一定以下の人や、失業・病気等により支払いが困難な人は、全額・一部(4分の3・半額・4分の1)の免除、または納付猶予の申請が可能です。制度が承認されれば、催告状や差押えの対象にはなりません。
この手続きは、市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所、マイナポータルを通じたオンライン申請でも可能です。
