前回は、法人による不動産ビジネス開始後の生命保険の活用について解説しました。今回は、法人設立を進めるあたって欠かせない「専門家」について見ていきます。

「相続税対策のための法人設立」に否定的な税理士も

これまでの連載で指摘してきたことからもわかるように、相続税、不動産、法人設立と来ると、これはもう素人では手に負えません。税理士などの専門家に管理してもらうしかありませんが、ここで大切なのは、信頼できる税理士、そして信頼できる不動産会社、さらに完璧を目指すためには信頼できる弁護士を探しておくことです。

 

ただし、相続税と不動産に強い税理士が意外と少ないことには、十分注意をしなければいけません。「相続税対策として会社を設立するようなことは、私は賛成しません」「相続税はきちんと納めるべきだ」という考え方の税理士も、実はたくさんいるのです。

収益物件を取り扱う不動産会社も少ないのが現実

もともと相続税は結果次第のところがあり、平成22年度の小規模宅地の改正などのように、予期しないことが起こる可能性が高いのです。つまり、努力したことがそのまま報われなくなるのも相続税のひとつの特徴であるといってよいでしょう。しかも税理士サイドからすると「コンサルタント料」のような形でしか報酬を得られないという事情もあります。

 

むろん、相続税の申告事務は引き受けますが、何もしなくても、何かしても変わりがない。結局、コンサルタント料のような形で報酬をいただくしか方法がなく、また、現状の日本ではコンサルタント料として報酬を支払うことが、まだまだ浸透している環境とはいえないために、相続税問題を手付かずにしている人が多くなっている原因のひとつとなっています。

 

加えて、相続は10年単位のコンサルタントが必要です。ですが、10年以上先のことは正直いってどうなるのかわかりません。わからないのにコンサルタント料を取れるのか、という気持ちが税理士の中にもあるようです。

 

いずれにしても、相続税対策を専門にやっている税理士、そしてまた収益物件を専門に取り扱う不動産業者または会社も少ないのが現実です。この分野のエキスパートを見つけて、アドバイスしてもらうのが、成功への近道といえます。

本連載は、2013年8月2日刊行の書籍『相続税は不動産投資と法人化で減らす』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続税は不動産投資と法人化で減らす

相続税は不動産投資と法人化で減らす

成田 仁,富田 隆史

幻冬舎メディアコンサルティング

従来より相続税対策として考えられてきた、アパートや小規模ビルなどの建設。しかし、それこそがリスクをもたらしているかもしれないとした…。 本書は、持て余している土地を収益性の良い賃貸物件に買い替える不動産投資の最…

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