リスク分散で資産が安定化する
ただ広い視野で見ると、資産を円とドルの両方で持っておくことで、リスクを分散させることができ、資産の安定感を増すことができる、という見方もできます。
たとえば円高になるとドルで買った社債などの価値は下がりますが、ガソリンや電気代、輸入食品などが安くなり生活費も下がります。これはプラスとマイナスが同時に働き、資産が安定するということです。
逆の場合も同様で、円安になると生活費は上がりますが、ドル建てで買った社債の価値も上がるので、リスクを相殺することができます。
もし円でしか資産を持っていなかったら、円安時には生活費や物価高の影響をまともに受けてしまい、それを相殺することができないので、資産は目減りするだけになってしまうでしょう。それが今まさに、私たちが置かれている状況ですね。
多少のリスクを取ってでも、一部でも外貨で資産を持っておいたほうが、全体でのリスクは減るのです。そういう意味でも、社債は目先の値動きに一喜一憂するのではなく、買ったなら満期まで持つくらいの気持ちでいたほうがよいでしょう。
今の時代、資産を日本円でしか持っていないこと自体が、大きなリスクです。そのリスクを分散するための第一歩として、グローバル企業にお金を貸すことを検討してみてはいかがでしょうか。
永江将典
公認会計士・税理士・投資家
