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殺人にまで発展する「騒音トラブル」の衝撃的な実態
国民の大半が高層マンションやアパートで暮らす韓国。上下階の騒音(階間騒音)や隣家の騒音(壁間騒音)をめぐるトラブルは、深刻な社会病理となりつつある。
中央日報によると、環境省傘下の韓国環境公団が把握した「層間騒音」問題での電話相談は、2012年の8,795件から2024年には3万3,027件へと、この10年あまりで3.8倍に増加した。相談では解決せず、当局による現場訪問・騒音測定にまで発展したケースは、377件(2012年)から1,888件(2024年)と5倍にもなっている。
さらに深刻なのは、これが重大犯罪の引き金となっている点だ。警察大治安政策研究所が発刊した「層間騒音犯罪の実態及び特性分析」報告書によると、「層間騒音」が原因の有罪事件は2013年の43件から2022年には145件へと3倍以上に増加した。その内訳も、殺人(未遂含む)が62件、放火が9件など、重犯罪が全体の10%。暴行や傷害などの暴力事件が全体の70%を占める。
実際に起きた事件の状況をみると、その深刻さは理解できよう。
騒音トラブルの果てに…元住人がマンションに放火
2025年4月21日午前8時17分、ソウル市冠岳区奉天区の21階建マンションが炎に包まれた。
60代の男性が、白い容器に入った液体を農薬散布機につなぎ、火を放ったためだ。男性は、同マンションの上階の住人と騒音問題でもめ、居住していた301号室から昨年11月に引っ越したはずの元住民だった。
マンションの住民は「ハンギョレ」新聞の取材に対し、「301号室の男性が引っ越してきてから、ハンマーで叩くようなドンドンという音がよく聞こえてきた」「401号室の一人暮らしの女性と大声で罵倒し合いながらけんかするのをみたことがある」と証言する。
管轄の警察署は、昨年9月ごろ、騒音問題で男性と上の階の住民がけんかになり、警察が出動したことがあったが、双方が処罰を望まず、事件化には至らなかったという。この火災で、4階から転落した70代の女性2人が全身に大やけどを負ったほか、11人が負傷。火をつけた男性は遺体となって発見された。
