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次男 vs. 長男・父…ロッテグループの経営権紛争
日本と韓国の両国にまたがる巨大財閥ロッテグループ。2025年7月、日本の株式会社ロッテホールディングスの代表取締役で現会長の重光昭夫氏(韓国ロッテグループ現会長)ら取締役6人に対して、会社に対して損害を与えたことを理由に、計140億円超の損害賠償請求が東京地裁に提訴された。
訴えたのは、昭夫氏の兄である重光宏之氏(元ロッテホールディングス副会長)とロッテホールディングスの最大株主である重光家の資産管理会社(株式会社光潤社)で、2015年から続く、経営権紛争が再燃した格好だ。
兄弟の争いは2015年、昭夫氏が宏之氏を副会長から解任し、グループ全体を掌握しようとしたことから表面化した。創業者である父・重光武雄氏は昭夫氏を逆に解任しようとしたものの、昭夫氏が議決権の過半数を掌握していたために失敗。その後、2020年1月に、武雄氏が逝去し、相続争いへと発展する。
同年4月には、昭夫氏がロッテホールディングスの会長に選任され、経営権を完全に掌握。その数ヵ月後、遺品の整理中に武雄氏が2000年に作成した遺言書が発見されるが、その内容は、昭夫氏にグループ全体の経営を委ねる内容であった。
実は、この前哨戦となっていたのが、2015年に韓国で申立てがなされた武雄氏に対する「限定後見」開始の申立てだ。
韓国では、日本の成年後見制度と同様に、病気や高齢によって判断能力が衰え、事務処理ができなくなった場合に適用される「成年後見」の制度のほかに、「限定後見」(民法第12条)という制度がある。限定後見は、ある程度、判断能力が残っていても限定的に事務を代理人に処理させることができる制度だ。「限定」とはいえ、財産の処分をするなど一定の範囲で後見人の同意を得なければならないなど、制約を受けることになる。
裁判所は2016年、この申立てを認め、親族ではない第三者を後見人に選任したが、武雄氏の威光を失った宏之氏は、経営権争いで不利に。この限定後見の申立てには、一部で「経営権を握るために、昭夫氏側が画策した」との報道もなされることとなった。
