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株価は「上下しながら」上昇するもの
次の日曜日、三福のカウンターで、姫奈と信二は3人に状況を報告した。みんな、いつものようにニコニコと聞いてくれるが、エビ銀のコメントは厳しい。
「早速株式市場の洗礼を受けたようだね。おめでとう」
サラ柴が心配そうにエビ銀をつつく。
「ちょっと、この子たちにとって5万円は大金なんだから。何か良いアドバイスをしてあげなさいよ」
「そうは言ってもなぁ。こればっかりは慣れるしかないと思うんだ。例えば、陸の上で暮らしていた人が、船の上で暮らすようなもんさ。船は波に揺られて上がったり下がったりするだろう。けど、慣れればそれが当たり前になる」
エビ銀は、手元にあったお皿を船に見立てて、上がったり下がったりする様子を伝えようとした。
「まぁ、そうでしょうけど、最初は船酔いしちゃうよね?」
サラ柴にそう言われて、2人はうなずく。
「おっしゃる通りです。頭ではわかっているつもりなんです。けど、船酔いみたいな感じで、感覚が付いてこなくて…」
さもありなんとベテラン3人もうなずく。エビ銀は再度、お皿を船に見立てて続ける。
「確かに船の上は安定しない。こんな感じでフラフラ、フラフラと危なっかしく見える。けど、本当に良い船に乗ることができたなら、後は何もしなくても、君たちをお金持ちの世界に連れて行ってくれるんだ」
エビ銀は、お皿を揺らしながら、どんどん上に持ち上げていく。
「時間はそれなりにかかるよ。けど、こんな風にフラフラ、フラフラしながらも、どんどん舞い上がって、どんどんお金持ちにしてくれる」
エビ銀はサラ柴の頭上高くに手を伸ばし、そこでもお皿を揺らして見せた。
「ちょっと、タレがこぼれるでしょ。この服、結構気に入ってるんだから!」
「ああっ、ごめん。まだ魚の煮つけが残っていたか…」
全員が笑う。
「わかりました。きっと素晴らしい船に乗っていると信じて、短期的な値動きはできる限り、気にしないことにします」
姫奈はノートを取り出して、また1つ追加した。
・投資に勝つコツ⑥
日々の値動きを気にしてはいけない。なぜなら、良い株は時間をかけて私たちをお金持ちの世界に連れて行ってくれるから。
実際、その後のオーバーロードハウス株は、驚きの大上昇を見せた。ゆらりゆらりというよりも、時に激しく、時に退屈極まりない動きをしながら、株価は7年がかりで、なんと20倍近くも大上昇したのである。2人が投資した170万円は3000万円を超え、信二たちを大いに喜ばせることになる。
もっとも、この時点で、そんな明るい未来が待っていることを、2人は知る由もなかった。
