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「自己紹介」を宿題にした理由
翌日の夕刻、2人は再び、骨董品・古本・居酒屋「三福」の扉を開いた。
「いらっしゃい。宿題はやってきたかな?」
エビ銀は楽しみに待っていたようだ。
「はい。これがそうです」
信二が自己紹介を記入したコピー用紙を渡すと、エビ銀は真剣にそれを眺める。
「ふーん。お2人とも、なかなか、良いご趣味をお持ちですね」
いきなり、きつい冗談だ。ダイエットやカラオケ、ジョギングなんて、趣味と言うのも恥ずかしいレベルである。
「はぁーっ、もっとすごい特技とかがあれば、カッコよかったんですけど」
ため息をつきながら信二が恐縮すると、エビ銀はにっこりとして説明を始めた。
「いやいや、そういう普通の趣味だから株式投資に使えるんだ。みんなやってる、みんなハマってる、そういう趣味こそ市場がデカい。そういう市場でうまくニーズをつかんだ企業の中から、素晴らしい成長株が飛び出してくる」
2人は顔を見合わせた。エビ銀が2人に自己紹介ファイルを提出させたのは、人となりを知りたかったからではなく、投資のネタ探しだったらしい。
「えっ? こんな普通の趣味が良いんですか?」
不思議がる2人に、さも当然そうにエビ銀が言う。
「そうだよ。例えば、このダイエットなんて、とびきり良い趣味さ。大化け株の宝庫だ。みんな悩んでいるからね。ジャンルでいえば、サプリメントや健康食品が代表格かな。広げると、フィットネス関連株やスポーツ関連株も含まれる」
「ええーっ。じゃあ、何の変哲もない、僕たちのつまらない趣味こそが、実はお金持ちになるネタってことですか?」
「そうだよ。人と違う特別な才能がないと株では儲からないと思う人が多いけど、それは単なる先入観さ。普通の人こそ株式投資に向いている」
驚いた。そして嬉しくなった。それが本当なら、今までやってきたことは、すべて無駄にならない。どれも人に自慢できるような趣味じゃないけれど、みんながやってる、つまり市場の大きな分野ばかりだ。そんな普通の趣味でも、いや、そんな普通の趣味だからこそ、投資に活かせる。そんな発想は、今まで思いつきもしなかったし、誰からも教えられなかった。
「ええーっ、新鮮!」姫奈がはしゃぎだした。
「わかりました。早速、ダイエット関連株をネットで調べてみます!」
信二の声に、エビ銀がちょっと首を傾げる。
「うーん。いや、ネットで検索する、みたいなアプローチだけではうまくないんだ。もっと素直に、例えば、最近買い始めた商品とか、最近近くにできたジムだとか、あるいは、仕事の悩みを解決してくれる新しいソフトだとか製品だとか、そういう、身近な体験の中から、今後伸びそうな会社を見つけ出すという視点が大事なんだ」
