年度末に要注意、予算の壁
移住支援金は、国の交付金を財源としつつ、自治体が年度単位で予算を立てて運用しているケースが一般的です。そのため、「いつでも申請できる」と考えていると、思わぬタイミングで受付が終了している場合があります。
たとえば、ある自治体では「移住から3ヵ月以上1年以内」に申請が可能とされていますが、その年の申請受付が1月末で締め切られていたとしましょう。移住時期が11月末であれば、3ヵ月後は2月。つまり、制度の要件を満たしていても「年度内の申請期限」を超えてしまい、翌年度まで申請できなくなるのです。
この場合、次年度も支援制度が継続されるとは限りません。予算が削減・廃止されるリスクもあるため、「数日違い」で支援金を逃してしまうことも十分にあり得ます。事前に自治体に確認することが重要です。
多くの自治体では、移住後の居住期間にも条件が設けられています。「移住先に5年以上居住すること」などのルールがある場合、数年以内に別の市区町村に引っ越すと、支援金の返還義務が生じる可能性があります。
たとえば、「本当はA市に家を建てる予定だったが、建築の都合で一時的にB市に賃貸で住むことにした」というケースでは注意が必要です。B市で支援金を受け取ったとしても、数年以内にA市へ移住すれば、「居住継続義務違反」となり、支援金を返金しなければならない場合があるからです。
このように、仮住まいでも「移住先」とみなされることがあり、結果的に支援金の返還対象になってしまうこともあり得ます。引っ越しの「最終目的地」がどこなのかを明確にした上で、移住先での居住期間条件をよく確認しておきましょう。
移住支援金の要件としては、「東京23区在住者」または「東京23区に通勤していた者」が対象です。「在住・通勤」いずれかであればよく、たとえば埼玉県や神奈川県など、23区外からの転居でも、23区に通勤していた実績があれば支援金の対象になる可能性があります。
ただし、対象となる「通勤実績」は通算で5年以上(直近1年以上は継続勤務)など、細かな条件があります。また、過去の在住歴や通勤歴だけでなく、移住先の地域要件や勤務先(または起業・テレワークの形態)なども厳密にチェックされます。
「都内勤務だったから大丈夫だろう」と自己判断せず、勤務証明の方法や就業形態の適用可否について、移住先の自治体に早めに問い合わせることをおすすめします。
