すべてを失い「時を巻き戻せたら」
失ったものは、家族だけではありません。離婚前後から社内で不倫の噂が広まり、特に女性社員からの信頼が失墜。保守的な社風もあり、「家庭的で信頼できる上司」だった評価が一変しました。
それでも、「彼女が自分を必要としてくれるから、それでいい」と思っていた佐々木さん。ところが、離婚を報告してまもなく、彼女の態度が急変。新しい恋人ができたと告げられ、関係はあっけなく終わりました。
レストランでの食事やプレゼント、旅行代、将来の約束――。残ったのは、寂しさと空っぽの通帳だけでした。
「何もしなければ、妻と平穏な老後を迎えられたのに。本当に馬鹿でした」
今では週末も一人。妻の手料理があるわけもなく、コンビニ弁当を食べています。貯金の半分、住宅ローン、教育費、会社での信頼、そして家族──失ったものは数知れません。
「刺激的な時間なんて一瞬。大切なのは積み上げてきた日常だった」
そう語る佐々木さんの姿は、感情に流される怖さを静かに物語っています。平穏を壊すのは、たいてい“ちょっとした気の緩み”から。後悔を背負って生きるより、今ある生活をどう守るかを考えることの方が、ずっと難しく、そして尊いのかもしれません。
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