現金で一括して支払うのが大原則だったが・・・
競売について規定している法律は「民事執行法」ですが、この民事執行法が改正され「競売のローン制度」が導入されています。
これまでの競売では、買受人が買受代金を支払う際は、現金で一括して支払うのが大原則で、横浜地方裁判所の横浜方式のみがローン払いができました。
これらから、特に高額な不動産の競売に参加できるのは、限られた一部の専門家、つまり「競売のプロ」だけという実情がありました。
そのため、一般の人達がもっと容易に競売へ参加できるよう、平成10年12月から法律が改正されこの制度が実施されています。
ただ、まだこの制度は浸透していないのが現状といえます。裁判所がもっと積極的に利用方法を周知普及させるとよいのではないかと思います。
また、現在の経済状態から金融機関の貸し渋りもいわれているため、ローンを利用したい人の100%が利用できるというわけにはいかないでしょう。それでも、近いうちには間違いなくこのローン制度を利用することが一般的な支払い方法になっていくものと思われます。ローン制度が利用できるか否かについては、事前に裁判所に確認しておきます。
これらは、一般の買受人にとって、とても有利な制度なので、正しくその手続きを理解して、かしこく利用しましょう。
必ず「司法書士」か「弁護士」を指定代理人に
ここからは、ローンを利用するときの手続きについて、順にみていきます。
①買受人が買い受けるまでの流れは、これまでの競売とまったく同じで、買受代金の支払い方法から異なってきます。
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②ローンで買い受けを希望する場合は、登記の専門家である「司法書士」または「弁護士」を必ず指定代理人として届出なければなりません。
それは後の手続きで、登記に必要な書類を受領して登記手続きをしなければならないためです。知り合いで司法書士か弁護士がいなければ、司法書士会や弁護士会で紹介してくれます。
日本司法書士連合会 03-3359-4171
日本弁護士連合会 03-3580-9841
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③金融機関との間で、買受代金の融資を受ける契約(その代金をローンで支払う契約)とその融資の担保として、競売で買い受けた物件に抵当権を設定する契約をします。
この契約をする場合は、あらかじめ自分が通常取引している金融機関に話を通しておきましょう。もしそのような機関がない場合には、代理を依頼した司法書士か弁護士に紹介してもらえるか、遠慮なく相談してみましょう。
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④この契約が成立すると融資をしてくれます。
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⑤融資を受けた代金を裁判所に納付します。
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⑥買受人は代金の納付と同時に、自分への所有権の移転登記と銀行との抵当権の設定登記をするため、裁判所に必要な申出書類を提出します。この申出は代金納付日の5日前までに行います。
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⑦代理人となった司法書士か弁護士は受領した登記申請書を登記所に提出し、登記手続きを済ませます。
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⑧この登記が終了すると、買い受けた物件の名義は買受人に移転し、同時に抵当権の設定もなされます。
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⑨あとはローンの設定契約どおり(一般の売買契約でローンを組んだときと同様)に、買受人は銀行に対してローンを支払っていきます。