競売の方法でもっとも多く行なわれている「期間入札」
マイホームを購入するため競売に参加することは、以前と比べてはるかに容易となりました。その上、法律が一般の人達の参加を促すように改正された今でも、不動産屋から市場価格で買うときよりも、安く買うことができます。
しかし、競売に参加する前に押さえるべきポイントを理解することが重要です。そのためには、まず競売とはどういうもので、どのようなしくみになっており、どのような手順で進行するのかをしっかりと把握することです。
ここでは競売の方法としてもっとも多く行なわれている「期間入札」を例にとって、競売の進行手順を説明していきます。これから、競売手続きのどこのどの箇所の説明なのかを【図表】で確認しながら、読み進めていってください。そうすることによって、読者の皆さんがよりわかりやすく競売というものを理解することができるかと思います。
購入希望の不動産については権利関係などを調査
まず最初に、不動産競売手続きはどのようにして行われるのかという概要について、競売を担当している「東京地方裁判所民事執行センター」が作成するガイドから抜粋していますので見ていきましょう。
1.不動産の競売手続とは
不動産の競売手続とは、債権を有している人(債権者)の申立てにより、裁判所が、債務を弁済することができなくなった人(債務者)の所有する不動産を差し押さえて、これを売却し、その代金を債務の弁済にあてる手続です。
2.不動産の検索方法
不動産の競売は、期間入札という方法で売却に付されますが、その内容は公告により公開されます。通常はその期間を8日間として入札期間を定め、その期間内に買受希望者から入札を受け付け、開札期日に開札を行って最高価買受申出人を定める手続です。期間入札で売却される不動産については、入札期間が始まる日の15日前に、民事執行センター内の物件明細書等閲覧室の掲示板に公告書(売却される不動産の登記上の表示等、入札期間、売却基準価額、買受可能価額、買受けの申出に際して提供する保証の額等が記載されている)が掲示されます。
3.不動産の調査
買いたいと思う不動産が見つかったら、その不動産の権利関係などについてよく調査をしてください。民事執行センターでは、物件明細書等閲覧室において、売却する不動産に関する物件明細書、現況調査報告書、評価書の各写しを、通常は入札期間が始まる日の15日前に備え置き、入札期間終了日まで誰でも見ることができるようにされています。
4.買受けの申出
①入札の方法 入札をしようとする人は、民事執行センター執行官室不動産部から入札書用紙や封筒など入札手続に必要な関係書類を受け取り、これに必要事項を記入して提出してください。入札価格については、公告に記載された買受可能価額以上でなければなりません。
②保証の提供 入札をするときには、買受けの申出をするための保証を提供しなければなりません。その額は、不動産の売却基準価額の通常20パーセントですが、それ以上のこともありますので、必ず公告書に記載されている額を確認してください。入札の方法等については、執行官室に尋ねてください。
③開札 入札期間が終わると、あらかじめ公告されていた開札期日に開札が行われます。 開札は、民事執行センター内の売却場で、執行官が入札書の入った封筒を開封し、入札した人のうち最も高い価額をつけた人が「最高価買受申出人」と定められます。
5.所有権の移転
①売却許可決定 開札期日で最高価買受申出人が決まると、次にあらかじめ公告されていた売却決定期日に最高価買受申出人に不動産を売却するか否かを、裁判所が決定します。
②代金の納付 代金納付期限は、通常は売却許可決定確定の日から約1か月以内の日が指定され、買受人に通知されます。
③登記 代金が納付されると、不動産は買受人の所有となり、裁判所は、登記官に対して、買受人への所有権移転登記の嘱託をします。
【図表】期間入札手続きの流れ