「紙オムツ代も、私が払えって…?」義母の“介護丸投げ”で限界を迎えた53歳妻。キッチンの引き出しにしまった〈離婚届〉

「紙オムツ代も、私が払えって…?」義母の“介護丸投げ”で限界を迎えた53歳妻。キッチンの引き出しにしまった〈離婚届〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化が進む日本社会において、介護をめぐる家族間の分担トラブルは長年の課題とされています。なかでも根強く残るのが、「嫁が介護を担うのが当然」という考え方です。本来、介護の責任は配偶者や実子にあるにもかかわらず、制度上も文化的にも“無償で嫁がやる”ことが前提になってしまっているケースは少なくありません。それが限界を迎えたとき、家族の絆に深い亀裂が入ることもあるのです。

「なんで私だけが…」義母との同居から始まった苦悩

「本音を言えば、最初から不安だったんです。でも“長男の嫁だから”って、自分を納得させてきました」

 

そう話すのは、埼玉県に住む53歳の主婦・川口真理さん(仮名)。10年前、義父の死をきっかけに、夫の母(現在82歳)との同居が始まりました。義母は、当時から軽い糖尿病と足腰の衰えがあり、真理さんは家事に加えて病院の付き添いや買い物も引き受けてきました。

 

「でも、最初は“まぁ仕方ない”って思っていたんです。お義母さんも寂しいだろうし、と」

 

しかし、義母の要介護認定が“要介護2”となり、入浴・排せつの介助が必要になったことで状況は一変します。

 

介護が本格化しても、夫は一切手を貸しませんでした。

 

「平日は仕事で疲れてる」「女同士のほうがやりやすいだろ」「おふくろのことは頼む」——

そんな言葉を繰り返し、まるで“当然のように”真理さんに丸投げする日々。

 

さらには、紙オムツ代すら「家計から出して」と言い出すようになったといいます。

 

「さすがに呆れました。私のパート代から介護用品を買うって、どう考えてもおかしいでしょ。なのに『嫁なんだから』の一言で片づけられるんです」

 

真理さんは、疲労とストレスから体調を崩すようになり、通院を余儀なくされました。

 

そんなある日、夕飯の準備をしようとキッチンの引き出しを開けた真理さんは、奥にしまっていた封筒にふと目を留めました。そこに入っていたのは、数年前に市役所で取り寄せたまま、忘れたふりをしていた「離婚届」でした。

 

「あの時は“念のため”のつもりだったんです。でも、今は違います。あれを出すときが、本当に近づいている気がしました」

 

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