「私は頼りにされていたんじゃなく、当てにされていただけ」
成年後見制度や任意後見制度といった「判断能力が低下した高齢者を守る枠組み」も存在しますが、今回のように本人がまだ元気で判断力がある場合、「家族間の信頼」が前提となり、明確な対処が難しいことも多いのが実情です。
「娘が生活に困っていたことはわかっていました。でも、それとこれとは別なんです。私は頼りにされていたんじゃなく、当てにされていただけだったんですね」
典子さんは現在、金融機関のアドバイスで通帳とキャッシュカードを新しく切り替え、本人以外が出金できないよう管理を強化しています。娘とは一時的に距離を置いているそうです。
「老後の一番の支えは“お金”じゃなく、“信頼関係”だと思っていました。でも、信頼も守り方を間違えると、簡単に壊れるんですね」
高齢化が進む日本で、親子間の“経済的境界線”は、今後ますます重要なテーマとなるでしょう。家族だからこそ、「あいまいな信頼」に頼りすぎず、お金の扱い方をきちんと話し合っておくことが、何よりの“安心材料”になるのかもしれません。
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