高齢期の“使い時”を逃すリスク
介護や入院などの“予期せぬ出費”に備えて老後資金を使い渋る方も少なくありませんが、実際には要介護になる前の健康な時期こそが「使い時」であり、そのタイミングを逃すと、十分な貯金があっても、満足度の低い日々を送ることになりかねません。
「老後資金は減らしてはいけない」という考えに縛られ、楽しむべき時期を見失った――佐々木さん夫妻のようなケースは決して他人事ではありません。
「もし10年前に戻れるなら、年に数回は旅行して、もっと友人や家族と外に出かけていました」
久子さんは、静かにそう語りました。
老後の資金計画では、つい“貯めること”ばかりに意識が向きがちですが、「いつ・何のために使うのか」も同じくらい大切です。長く安心して暮らすために、計画的に使うという視点を持つことが、結果として生活の充実につながるかもしれません。
