●企業自身はトランプ関税による景気や業績の先行き不透明感などから、今年度は減益の予想に。
●弊社は調査対象企業の業績について今年度は厳しめの予想だが、来年度は増収増益を見込む。
●市場でも来年度の業績回復が見込まれており、これが日経平均やTOPIXの上昇を支える一因に。
企業自身はトランプ関税による景気や業績の先行き不透明感などから、今年度は減益の予想に
今回のレポートでは、日本企業の業績について、企業自身による2025年度予想と、弊社の2025年度および2026年度予想について解説します。はじめに、東証株価指数(TOPIX)の3月期決算企業(金融とソフトバンクグループを除く)自身の予想からみていきます。まず2024年度の実績を確認すると、売上高は前年度比4.4%増、営業利益は同7.3%増、経常利益は同3.9%増、純利益は同2.5%増と、1ケタながらも増収増益での着地でした(図表1)。
次に、2025年度の企業自身による業績予想に目を向けます。2025年4-6月期の決算発表が一巡した2025年8月14日時点の集計によると、売上高は前年度比ほぼ横ばい、営業利益は同3.1%減、経常利益は同7.6%減、純利益は同8.5%減と、厳しめの予想が示されました。これについては、トランプ米政権の関税引き上げによる景気や業績の先行き不透明感の強まりが、主に影響していると推測されます。
弊社は調査対象企業の業績について今年度は厳しめの予想だが、来年度は増収増益を見込む
次に、弊社の業績予想をみていきます。なお、対象企業は、弊社が調査する金融とソフトバンクグループを除く372社であり、前述のTOPIXの3月期決算企業(金融とソフトバンクグループを除く)とは異なります。まず、372社の2024年度の実績を確認すると、前年度比で売上高は4.4%増、営業利益は3.8%増、経常利益は1.6%増、純利益はほぼ横ばいでした。
同じく、この372社について、弊社の2025年度の業績予想は、前年度比で売上高が0.8%増、営業利益は1.6%増、経常利益は0.3%減、純利益は2.5%減となっており、経常利益と純利益は減益を見込んでいます(図表2)。ただ、2026年度については、前年度比で売上高が3.4%増、営業利益は13.5%増、経常利益は12.6%増、純利益は14.6%増と、増収増益を予想しています。
市場でも来年度の業績回復が見込まれており、これが日経平均やTOPIXの上昇を支える一因に
参考までに、TOPIXの1株あたり利益(EPS)について、2025年度は前年度比1.4%の伸び、2026年度は同12.9%の伸びが、それぞれ直近の市場で予想されています。以上を踏まえると、2025年度の業績については、企業自身、弊社、市場とも、主にトランプ関税の影響などから、やや低調な見方をしているものの、2026年度は、弊社と同じく市場も、持ち直しを予想していることが分かります。
足元で、日経平均株価とTOPIXが連日最高値を更新している状況を勘案すると、市場では2025年度の低調な企業業績はすでに織り込み済みで、2026年度の業績回復に焦点が移り、これが株価を支える1つの要因になっていると思われます。そのため、2026年度の業績回復期待が損なわれるような事態(米景気の見通し悪化など)には注意が必要ですが、期待が維持される限り、株価の大幅な調整リスクは抑制されやすいとみています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日本企業の2025年度と2026年度の業績予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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