「これ、本当に私にも?」届いた“薄緑の封筒”
「最初は、またいつもの振込通知かと思っていました。でも、封を開けたら“特別給付金のお知らせ”って書いてあって…驚きました」
そう話すのは、千葉県に住む68歳の一人暮らし女性・田島さん(仮名)です。
田島さんは、60歳でパートを退職して以降、国民年金を中心に月13万円ほどの年金で生活しています。贅沢はできませんが、持ち家で生活費を切り詰めれば、なんとか暮らしていけるという状態です。
そんな彼女のもとに届いたのは、日本年金機構からの“薄緑色の封筒”。中には「年金生活者支援給付金のお知らせ」と記された文書が入っていました。
田島さんが受け取った「年金生活者支援給付金」は、一定の条件を満たす高齢者に支給される国の制度です。目的は、年金のみで生活している低所得者を支援することにあります。
この給付金は、全員が自動的にもらえるわけではありません。対象になるのは、次のような条件を満たす人です。
●65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
●同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
●前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は909,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は906,700円以下※2である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で809,000円を超え909,000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で806,700円を超え906,700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
しかも、受給のためには申請が必要で、封筒内の案内に従って必要書類を提出する必要があります。制度が始まったのは2019年ですが、「自分が該当するとは知らなかった」「説明が分かりにくい」と感じる高齢者も少なくありません。
「実は、最初に封筒を見たとき、いつもの案内だと思って捨てそうになったんです。でも、たまたま友達が『給付金がもらえた』と話していて、あわてて確認しました」
田島さんは、近所に住む同年代の知人と偶然話したことで、自分も対象になる可能性に気づいたといいます。
制度の周知が十分とは言えず、「気づかないまま時効になる」「申請期限を逃す」といったケースも少なくありません。申請期限はおおむね通知が届いてから3ヵ月程度とされており、封筒の内容をすぐに確認することが重要です。
