●政策金利据え置きは予想通りだが、2名が利上げを求め反対、またETFとJ-REITの売却を決定。
●ETFとJ-REITの売却はかなり緩やかなペース、日銀は市場の安定に十分配慮した仕組みを構築。
●利上げは来年1月との見方を維持、日銀決定後の長期金利上昇や円高、株安は一時的とみる。
政策金利据え置きは予想通りだが、2名が利上げを求め反対、またETFとJ-REITの売却を決定
日銀は9月18日、19日に金融政策決定会合を開催し、弊社を含む大方の予想通り、無担保コール翌日物金利の誘導目標(現行0.50%程度)を5会合連続で据え置くことを決定しました。ただ今回は、政策委員会の委員9名のうち、植田和男総裁など7名が賛成票を投じた一方、高田創審議委員と田村直樹審議委員は、誘導目標の0.75%程度への引き上げを求めて反対票を投じました。
また日銀は、保有するETFとJ-REITを市場で売却することを決定しました(図表1)。日銀のETF売却については、事前に複数の観測報道がありましたが(読売新聞、日本経済新聞、ロイター通信)、市場では、この観測報道に関し、日銀がETF売却に対するマーケットの反応を探っているだけではないかとの見方が多かったため、今回の会合での売却決定は、サプライズだったと思われます。
ETFとJ-REITの売却はかなり緩やかなペース、日銀は市場の安定に十分配慮した仕組みを構築
日銀の声明によると、ETFの売却ペースは簿価ベースで年間3,300億円程度(2025年3月末時点の時価換算で6,200億円程度)であり、東証プライム市場全体の売買代金に占める売却額の割合は0.05%程度になります。また、J-REITの売却ペースは簿価ベースで年間50億円程度(2025年3月末時点の時価換算で55億円程度)であり、東証REIT市場全体の売買代金に占める売却額の割合は0.05%程度になります。
なお、今回、売却開始時期は決定されませんでしたが、売却にかかる受託者を選定した上で、所要の準備が整い次第、売却を開始する方針が示されました。また、市場の状況に応じ、売却額の一時的な調整や、一時停止を行うことができるとし、金融政策決定会合において売却ペースを見直すことも表明するなど、日銀はETFやREIT市場の安定に十分配慮した仕組みを構築したとみられます。
利上げは来年1月との見方を維持、日銀決定後の長期金利上昇や円高、株安は一時的とみる
政策金利の据え置きに2名の審議委員が反対し、また、ETFとJ-REITの売却が決定されたことから、国内市場では、金融正常化が今後さらに進むとの思惑が強まり(図表2)、長期金利上昇、ドル安・円高、株安の動きがみられました。ただ、植田総裁の記者会見における発言からは、早期利上げに前向きな様子はうかがえず、弊社は次の利上げ時期について、来年1月との見方を維持しています。
今回の2名の反対は、日銀が早期利上げに傾いていることを直接意味するものではないとみられ、ETFとJ-REITの売却も、発表のタイミングこそサプライズとなったものの、市場の安定に配慮しながら緩やかなペースで進むと思われます。これらの点を踏まえると、今回の日銀の決定直後にみられた長期金利上昇、ドル安・円高、株安の動きは、一時的なものとなる可能性が高いと考えています。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2025年9月日銀政策会合レビュー~ETFとJ-REITの売却を決定【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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