●ドル円は1月27日につけた152円台前半からドル高・円安が進み、足元では157円近くまで戻る。
●1月にレートチェックが行われたならば為替介入は近いと考えられ、この先は財務省の発言に注目。
●2024年のケースを考えると為替介入を警戒すべき状況、衆院選前後に円安が加速なら要注意。
ドル円は1月27日につけた152円台前半からドル高・円安が進み、足元では157円近くまで戻る
ドル円は1月23日、日米当局が為替介入の準備段階とされる「レートチェック」に動いたとの観測が市場に浮上すると、1ドル=159円23銭水準から155円63銭水準まで、大幅にドル安・円高が進行しました。また、トランプ米大統領が1月27日に、このところのドル安を懸念していない考えを記者団に示したことで、ドル安・円高が加速、ドル円は一時152円10銭水準をつけました。
ただ、その後は反転し、日本時間2月5日の早朝には156円95銭水準まで戻しています。背景には、①トランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に、他の候補者ほどハト派的ではないとの見方もある、ケビン・ウォーシュ氏の指名を発表したこと(1月30日)、②高市早苗首相が円安容認ともとれる発言をしたこと(1月31日)、③朝日新聞が与党は300議席超をうかがう情勢と報じたこと(2月2日)、などがあると思われます。
1月にレートチェックが行われたならば為替介入は近いと考えられ、この先は財務省の発言に注目
市場で、前述の①は米利下げ期待後退でドル高要因、②は円安要因、③は責任ある積極財政の推進により円安要因、と解釈されたように思われます。ドル円は結局、1月23日から27日までの間に7円ほどドル安・円高が進み、その後は足元まで5円弱、戻したことになります。特に②や③を踏まえると、この先、投機筋などが円売り圧力をさらに強め、本邦当局の円安許容度を試すような流れが続くことも想定されます。
実際に、日銀によるレートチェックが1月に行われていた場合、1月26日付レポート「円急騰の背景と今後の展望」で示した通り、ドル売り・円買いの為替介入が行われる可能性は高まっていると考えられます。今後、注意すべきは財務省の言動で、特に「常に準備はできている」、「急激な変化は容認できない」などの発言があった場合は、為替介入の実施は近いと推測されますが、現時点でこれらの発言はまだありません。
2024年のケースを考えると為替介入を警戒すべき状況、衆院選前後に円安が加速なら要注意
なお、直近でドル売り・円買いの為替介入が行われたのは2022年と2024年です。それぞれについて、為替介入の実施日や金額などを図表にまとめました。今回の局面で、為替介入実施のタイミングを考えるにあたっては、2024年のケースが有効と思われ、ドル円は157円台後半を超えてドル高・円安が進行した場合、ボラティリティは1週間で7%前半を超えて上昇した場合、1カ月で8%台半ばを超えて上昇した場合は、要注意と考えられます。
足元で、ドル円はまだ157円台後半には達していませんが、ボラティリティは1週間が11%台前半、1カ月が9%台半ばにあることから、為替介入を警戒すべき状況にあると判断されます。衆議院選挙は2月8日に投開票が行われるため、選挙前の本日から明日にかけて、または、選挙後の週明け以降に、ドル円が大きくドル高・円安に振れた場合、為替介入が行われる公算はかなり大きくなるとみています。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『円売り圧力が再び強まるなか為替介入の可能性を考える【三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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