評価額が時価よりも低い資産のほうが有利
相続税対策として資産の評価額を引き下げるには、各種資産がどのように評価されるかを知っておく必要があります。
現金や預貯金は額面どおりに評価されるので、相続税対策の点では不利です。不動産など時価よりも評価額が低い資産に、予め変えておくほうがいいでしょう。ただし、相続税の納付は現金で行うのが基本なので、納税資金の分はきちんと用意しておかなければなりません。
株式は、上場株であれば市場での取引価格がベースになります。ただ、いつの時点の価格を使うかによってかなり違いが出ます。非上場株は、評価方法そのものが非常に複雑で、評価額を下げるには詳しい専門家に相談する必要があります。
借地扱いの土地は、不動産評価額が20%程度下がる
不動産は、土地と建物で評価方法が違います。土地は基本的に、各税務署が設定する「路線価」にもとづき、その上で様々な修正を加えていきます。一方、建物は各市町村が付ける固定資産税評価額をそのまま用います。
不動産の評価額を下げるにはいろいろな方法があり、土地と建物の所有を分離するのもそのひとつです。
たとえば、土地はオーナーが所有したまま、建物をオーナーが設立した資産管理会社へ移します。そして、土地は資産管理会社が借りる形にします。すると、個人所有の土地に関しては借地扱いとなり、土地の評価額がだいたい20%下がります。不動産の持ち方を工夫するだけで、相続税が簡単に下がるのです。
ただし、この場合、借地権設定にあたっての権利金の支払いや認定課税といった問題を避けるため、税務署に「無償返還の届出」を出す必要があります。不動産の評価額を下げる場合も、詳しい専門家に相談すべきです。