母の死後、すべてが“あいまいなまま”だった代償
「母が生きていた頃は、“何かあったら私がこの家に住めばいい”って思っていました。でも、現実はそんなに簡単じゃなかった。母が亡くなった後、何をどうすればいいかもわからなくて…」
相続手続きや年金停止の届け出すら、すぐには行えず、遺族年金を誤って受給し続けていたことで返金を求められたこともあったといいます。
また、親名義の預金口座も凍結されたため、母が残した資産をすぐには使えず、公共料金や税金の支払いに困窮しました。
かつては「親と同居していれば安心」「実家があるから大丈夫」と考えられてきましたが、親亡き後に残された人の生活は、想像以上に不安定です。
相続登記の義務化や、未登記物件のリスクも増しているなか、実家や親の財産について「名義」「遺言」「分割方法」などを生前から確認しておくことが、今後はより一層重要になってきます。
「もっと早く、自分の人生を考えるべきだったのかもしれません」
貴美子さんの言葉には、“親の死後”を意識せずに歳を重ねてきた後悔が滲んでいました。
