離婚の決め手は善悪にあらず。「損得マインド」で考える
離婚の相談者の多くは「相手は間違っている」「相手が悪い」という善悪マインドで相談にきます。そして「普通〇〇ですよね」、なかには「うちの親も同じ意見だ」という人もいます。
私からすると「そんな考え方もあるな…」とは思いますが、どちらが正しいか間違っているかは問題にはなりません。
じつは、正解はありません。たとえば、仕事と家事のバランスにおいて「何%ずつが正解」というものはなく、夫婦で話し合って互いに納得するところを見つければいいのです。
しかし、これがなかなか難しいのです。お互いが自分の意見を主張し、妥協できません。あくまでも「自分は正しい」というスタンスなのです。そういう状態ではイライラするし毎日憂鬱です。健康や仕事にも影響が出ます。子どもがとばっちりを受けることもあるかもしれません。
そんな時間を過ごすのは損じゃないですか?
だから「善悪マインド」を「損得マインド」に変えてもらいたいのです。時間もお金も体力も有限です。離婚したほうが得か? 損か? そのくらいの考え方で将来を考えてみると、問題が解決することもあります。
インフレ時代、虎の子の資産は目減りしていく?
熟年離婚後のお金の話をする前に、これからの経済について考えてみましょう。日本は1990年から長い間、デフレの時代が続いていました。デフレとは、モノやサービスの価格が下がること。生活しやすい面もあります。
私が20歳(1985年)のころ、おしゃれで品質のよいコートの値段は10万円以上しました。しかし、技術の革新やファストファッション、100均ショップなどの出現で、安くてよいモノが出てきました。そういう時代が長く続いたせいか、熟年世代はデフレ時代の感覚で、「これくらいのお金があれば生活できる」と考えがちです。
しかし、日本では2021年から物価が上昇し、いまもモノやサービスの価格が上昇しています。原材料価格や賃金の上昇、円安による輸入コストの上昇、人手不足、政府の方針などの影響もあり、まだまだ経済の先行きは不透明です。
日本銀行が掲げるインフレ率は2%。たとえば、いま100万円のモノでも、毎年2%ずつ上昇すると10年後には122万円の価格になります。細かいことはわからなくても「いままでとは違って、生活しづらい時代がきているんだな」と考えておいてください。

