「後悔しているわけじゃない。でも…」
老後の離婚を「後悔しているか」と問われると、光男さんは首を横に振ります。
「妻と一緒にいたとしても、あのままうまくやっていけたとは思えません。でも…“人生をやり直せる”と信じすぎていたのかもしれません。人と繋がるって、思っていたよりも難しいですね」
一人暮らしの高齢者の増加は、社会全体でも深刻な問題となっています。内閣府『高齢社会白書』(令和7年)によれば、65歳以上の単独世帯の割合は年々増加しており、2040年には全高齢者世帯の約4人に1人が一人暮らしになると推計されています。
また、孤独・孤立の影響は生活の質や健康リスクにも及び、「社会的つながりの欠如」が死亡リスクを高めるとの報告もあります。
現在、光男さんは「見守りサービス」付きの高齢者住宅への入居を検討中です。市の地域包括支援センターにも相談し、食事・安否確認・緊急時対応が受けられる民間サービスを一部導入しています。
「今さら誰かに頼るのは格好悪いと思っていました。でも、年を重ねると“ひとりではできないこと”が本当に増えるんですね。あのとき“離婚して自由に”と思っていた自分に、“本当に準備はできているのか?”と問いかけたい気持ちもあります」
老後の離婚や一人暮らしが、すべて悪いわけではありません。しかし、“自由”には“自己責任”という大きな重荷がのしかかってきます。
光男さんのように「やり直せる」と信じていた人ほど、現実の厳しさに直面したときのダメージは大きいのかもしれません。
「若いころのような“再スタート”じゃない。“続きの人生”なんですよね。今はようやく、その意味がわかってきました」
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