前回は、沈下した工場の建物基礎を修正する「アップコン工法」について説明をしました。今回は、土壌汚染の心配も少ない「ウレタン樹脂」の安全性について見ていきます。
固まったウレタンは非常に安定し、溶け出すことはない
Q:床下にウレタン樹脂の薬液を入れるなんて、あとあと大丈夫なのですか?
土壌汚染などの問題は起こりません。
修正工事の際、ウレタン樹脂の薬液は正しい割合で混合されます。すると、床下で即座にゲル状になり、次いで固体になりますから、余分な薬液が周辺に染み出して悪影響を及ぼすことはありません。
また、固まったウレタンは非常に安定した状態にあるので、これが地下水や土中の物質と反応して溶け出すこともありません。つまり、土壌を汚染することはないのです。
ウレタンを通した水は金魚も泳げる
もっとわかりやすい例をお話ししましょう。
以前、私の会社の応接スペースには、金魚が泳ぐ水槽を置いていました。応接スペースに置くぐらいですから、もちろんただの水槽ではありません。水槽内の上部が固体となった硬質発泡ウレタン樹脂でふさがれ、その上から水が注がれるのです。水は、ウレタンを通って底に溜まり、そこで金魚が泳いでいるという水槽です。
これは、沈下修正用のウレタンを応用してつくった緑化用のウレタンですが、訪問された方は、この水槽を見ることで、アップコン工法のウレタンは安全な物質である(少なくとも金魚にとっては)ことを瞬時に理解されていました。
アップコン株式会社
代表取締役
1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)
「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。
著者プロフィール詳細
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連載沈下問題を抱える工場・倉庫の「トクする修正工法」