(※写真はイメージです/PIXTA)

私たちの生活を圧迫しているのが、税負担の重さ。過去3%だった消費税もいまや10%。国民負担率は50%に迫ろうとしています。では、この税金、果たしてきちんと使われているのでしょうか? 本記事では、宮脇さき氏による書籍『世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか』(KADOKAWA)を一部抜粋・再編集して、日本の税金の実情について解説します。

稼いでも報われない日本の重税構造と「見えない」税の使い道

 
 
 

生活コストの上昇に加え、もう一つ私たちの生活を圧迫するのが、諸外国と比較しても高いとされる税負担です。

 

「せっかく頑張って収入を増やしても、かなりの部分が税金で取られてしまう……」

 

そんな不満の声がますます増えており、富裕層の中には、こうした状況に耐えきれずに日本を離れる人も出てきています。なぜなら、日本の税金や社会保険料の負担は、他国と比較して一概に「高すぎる」と断定するのは難しいものの、所得や資産に対する負担感が強いと感じている人が多いからです。

 

例えば、所得税の最高税率が45%、さらに住民税の10%が加わり、最大55%もの税金が課されることになります。つまり、年収が数千万円を超えたあたりから、どんなに収入が増えても税金で約半分持っていかれるという状態になります。

 

北欧のフィンランドやデンマークでも税率は高いのですが、そのぶん教育費無料・医療費無料(あるいは低負担)・手厚い社会保障があります。

 

一方で、日本は税金が高いのに、受けられるサービスは北欧ほど充実していないのが現実です。他の主要先進国と比較しても、日本の税率がいかに厳しいかがわかります。

 

・アメリカの連邦所得税最高税率…37%(州所得税等が別途かかる場合あり)

・イギリスの所得税最高税率…45%

・ドイツの所得税最高税率…45%(連帯付加税等が別途かかる場合あり)

 

一方、新興国や特定の地域には税金が非常に安い、あるいはほぼゼロの国もあります。いわゆる「タックスヘイブン(租税回避地)」と呼ばれています。

 

例えば、シンガポール、ドバイ(UAE)、ラブアン島(マレーシア)、香港といった国や地域では、キャピタルゲイン(株式や不動産の売却益など)や暗号資産の売却益が原則として非課税です。

 

しかも、日本の税制は、二重・三重の課税が指摘されることも多いです。例えば、私たちが日常的に支払う税金には、所得税や住民税の他に以下のようなものがあります。

 

・消費税(買い物をするたび原則10%)

・ガソリン税、自動車税(生活必需品にも課税)

・固定資産税(不動産を持つだけで毎年課税)

・復興特別所得税(通常の所得税に2.1%上乗せ、2037年まで)

・相続税(最大55%)

・贈与税(最大55%)

 

国民負担率(国民所得に対する、租税負担と社会保障負担の合計額の割合)は今や50%に迫る水準。つまり、日本でお金を増やせば増やすほど半分近くが税金で消えていくわけです。社会保険料の負担を含めると、日本の国民の負担が収入の半分近くに達するわけですから、江戸時代に年貢として収穫高の半分を納めていた「五公五民」とたいして変わらない状態と言えなくもありません。

 

【図表1]32年前と今の日本人のお金事情

 

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※本連載は、宮脇さき氏による著書『世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか

世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか

宮脇 さき

KADOKAWA

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