お金を守りたい・甘やかしたくないが行き過ぎ「孤独な晩年」に
一方の子どもたちも、そんなAさんとすっかり距離を置くように。
「そんなにお金に固執するなら、どうぞ死ぬまで抱えていてください。でも、都合のいいときだけ頼らないでよね」
実の子どもから突き放されるのは寂しいはずですが、Aさんは「わかった、それでいい」と応じました。その頑なな態度の裏には、自分のお金が狙われているという猜疑心と、お金は自分で守るものだという信念がありました。
資産7,000万円という数字は、確かに老後を暮らすには十分すぎる額でしょう。しかし、お金はあってもそれをどう使うかによって、人生の豊かさは大きく変わってしまいます。
Aさんの場合、「自分が稼いだお金を守りたい」という心理と「子どもを甘やかしたくない」という信念が絡み合い、結果的に“孤独な晩年”を招いてしまいました。
孤独とお金の狭間で
Aさんは今日も一人。冷蔵庫には割引のお総菜が並び、通帳には動かない資産が眠ったままです。
「俺はこれでいいんだ」と言い聞かせるものの、心のどこかでは孫の声が聞きたい。寂しい。電話一本かけるだけで関係は変わるかもしれませんが、行動に移せないと言います。
高齢になると、少なからずお金に固執しやすくなるといわれます。
・収入が減り、先行きが不安になる
・認知機能の低下で柔軟な判断が難しくなる
・「減る」ことへの恐怖心が強まる
こうした要因が重なると、Aさんのように「使わないで守る」という行動に偏りやすいのです。
一方で、逆に「あるだけ使ってしまう」タイプの高齢者も存在します。いわゆる“大判風呂敷を広げすぎて破綻する”ケース。たとえば退職金をつぎ込んで豪遊したり、怪しい投資や詐欺に引っかかったりして、一気に資産を失ってしまう人もいます。
また、親の資産を当てにする子どもも、確かに存在します。Aさんの資産はAさんが築いたもの。そう考えれば、彼の行動すべてが間違っているともいえないところが、難しいところです。
結局のところ、大事なのは「どう使うか」を考えておくことです。子や孫に援助する場合はいくらまでと決めておく、老人ホームや医療費に充てる予算を想定しておく、趣味や旅行など、自分の楽しみにも計画的にお金を割く――。
「抱えては死ねない」のがお金です。守るだけでも、使い切ってしまっても、後悔につながる可能性はあります。いずれにしても、Aさんのように家族との関係を壊してしまわないよう行動することが大切です。
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