「投資なら日本株」というイメージもあるが・・・
投資の話題というと「株」の話だと思う人が多いと思います。特に最近は日本株が大きく出直していますから、従来以上に日本株の動向が気になる人が増えているはずです。
2014年4月に実施した勤労者3万人アンケートによると、実際に投資をしている8868人のうち66.7%は日本株を保有しており、やはり「投資なら日本株」というイメージがあることが良くわかります。表は平均より10ポイント以上高いところを青色で、5ポイント以上高いところを灰色で示していますので、特色が強く出ている部分が一目でわかります。
日本株では、40代、50代と年齢が高い男性ほどその保有する人の比率は高くなっており、50代男性では77.3%と平均より10ポイント以上高くなっているのが特徴です。
一方、40代、50代の女性では毎月分配型投資信託が人気です。分配金がお小遣いのように入ってくるのが楽しみだ(本当は違うということを第4回で確認してください)という人が多く、ここ数年、投資信託の売れ筋トレンドです。
また、20代、30代の若い男性は、ひと儲けしたいとか、お小遣いが欲しいという理由から外国為替証拠金取引、いわゆるFXに向かっている姿もわかります。
こうした年齢や性別による投資行動の特徴は、思った以上に大きな課題を残すことになりかねません。投資には「資産分散」というリスク軽減の方法がありますが、こうした極端に偏った投資行動は「資産分散」によるリスク軽減の効果を大きく減じているからです。
【図表1】 保有している投資商品
資産全体の値動きを緩やかにする「資産の分散」
一方で、年収の高い人や保有資産の多い人の特徴は、多くの金融商品の欄に色が付いている、すなわち、色々な金融資産に分散しているということです。
「資産分散」は上手な投資を行うための原則のひとつで、資産が多いとか所得が多いとかとは関係なく、安定した資産形成を行うには必要な投資の考え方ですから、よく理解しておきたいものです。基本は単純で資産を同じ金融商品に集中させないで、値動きの方向が違うもの、値動きの水準が違うものなどを組み合わせて保有することです。
例えば日本株を保有するなら、これと違った値動きをする国内の債券とか海外の株式などを組み合わせの対象として保有するなどのアイデアです。こうした資産の分散で、資産全体の値動きを緩やかにする効果が期待できます。
この分散投資を理解するための格言として「卵をひとつのカゴに盛るな」というものがあります。例えば、全部で9個の卵をひとつのカゴに入れていて、万一落としてしまうと、全部が割れてしまいます。でもこれを3つずつ違うカゴに盛っていれば、万一1つを落としても残り2つが残っていれば、大丈夫です。残った6つが鶏に成長し、また卵を産むと、卵が増えていきます。同じように資産形成も脈々と続けられるということです。
資産分散は、すべての資産が一気に下落方向に向かう(すべての卵を一度に落としてしまう)ことを避けて、逆の動きをする資産(落とさないで残った卵)を持つことで資産全体の収益力(卵がいつか鶏になってまた卵を産む)を維持することなのです。
【図表2】