一般の会社員より収入・資産で「優位」な公務員!?
公務員は保守的な傾向があるとはよく言われますが、本当でしょうか? 学校の先生や役所の方は堅い商売というイメージがあってそう言われているのかもしれませんが、こと投資に関してみると、そのような姿は見受けられません。どちらかと言えば、老後の備えをしっかり考え、投資にも会社員と変わらない前向きさを示しています。
ちょっと数字を比較してみましょう。2014年4月に実施した勤労者3万人アンケートでは、2113人の公務員の方から回答をいただいています。その平均像を見てみると、平均年齢は42歳で全体よりも1歳強高く、男性、また既婚者が多くなっています。そのうえで、子どものいる比率は6割弱に達し、会社員や自営業よりもかなり高くなっていることが目立ちます。
公務員は収入・資産面で優位また平均年収は609万円強と会社員の477万円強よりもかなり高く、世帯の金融資産も1102万円程度と正規雇用の会社員よりも200万円ほど多くなっています。退職後の生活のために準備できている資産額も800万円弱と正規雇用の会社員より170万円ほど多くなっています。収入・資産というお金の面ではかなり優位にあることがわかります。その分、退職後の生活に対するポジティブなイメージを持つ人の比率は4分の3と高い水準に達しています。
とはいえ、公務員でも実際に「今の高齢者と比べて良い生活を送れる」と思っている人は1割にとどまっており、期待と現実の差は大きいように思われます。公的年金への理解度や退職後に必要となる生活資金の総額などでも、会社員との差はほとんどありません。
【図表1】雇用形態別の家計状況
雇用形態別に特徴がある「投資対象」の選択
退職後の生活を楽観していないことが実は資産増などに繋がっているのかもしれません。というのも、投資に対する姿勢はかなり前向きだからです。
投資に対する姿勢を聞く設問では、まず「投資をしていますか」と聞いています。投資をしていると回答した人は全体の3分の1と高い水準となっています。33.2%というこの比率は正規雇用の会社員を若干上回るほどで、公務員は投資に対して保守的であるとはとても言えない水準です。
そのなかでも特に注目したいのが、「退職後の生活資産を形成するために実践していること」を聞いた結果です。
「積極的な資産運用」を行っている比率は9.1%と、正規雇用会社員の8.9%と同じ水準ですが、「計画的貯蓄」「できる範囲での貯蓄」まで合わせると正規雇用会社員の54.9%を大幅に上回る62.3%に達し、公務員は正規雇用の会社員や自営業者等と比べて極めて前向きなことがわかります。逆に「特に何もしていない」と回答した比率も37.7%と全体のなかで最も低い水準となっており、資産形成への対応が相対的にしっかりなされていることがわかります。
もしデータが示す通り「公務員は言われるほどに保守的ではなく、所得が多いことで投資に相対的に前向きである結果、残している資産が多くなっている」とすれば、それは参考にしたい資産形成への対応だといっていいでしょう。
最後に、投資をしている人に具体的な投資対象を挙げてもらうと、雇用形態別に特徴があることがわかります。
例えば、経営者では日本株、外国株、外貨預金、不動産の比率が高く、総じて多くの資産に投資していることが窺えます。正規雇用者は日本株投信の比率が高いのですがそれ以外は平均的といって良いでしょう。
そして公務員ですが、外貨預金、日本債券、外国債券、日本株投信、外国株投信の比重が高くなっています。投資対象の選別の点ではどちらかと言えば投資信託を選ぶ傾向が強く、資産分散などの保守性が窺えます。
【図表2】 雇用形態別の投資対象金融商品