涙の訴え…介護離職前にやるべきだったこと
それまで淡々と世話をしてくれていたA子さんの涙に、父もハッとした様子でした。面倒を見てもらうことが当たり前になり、感謝の気持ちが薄れていたことに気づいたのでしょう。
A子さんと父はあらためて話し合い、在宅介護サービスの利用を始めました。そして、父の要介護度が上がると、最終的に近隣の介護施設へ入居することに。心なしか、父もほっとした様子だったといいます。
「これでお前の負担が減るな、よかったよ。これまで本当にありがとう……」
A子さんは自分のための時間を持てるように。就職活動の末、正社員として再び仕事を始めたと言います。しかし、後悔もあるとのこと。
「介護離職したことで、キャリアが数年ストップしたことの影響は大きかったです。自分の貯金もだいぶ減りましたし、再就職しても当時の年収には及びません。あのまま正社員として働き続けられていたら……。会社に迷惑をかけたくなくて、父の事情をろくに伝えずに辞めてしまったこと、後悔しています。誰にでも起こり得ることですし、働き方を変えて続けられないか、とことん相談すべきだったと思います」
介護サービスや公的支援の活用は「責任ある選択」
この事例から見えてくるのは、いくら親を思う気持ちがあっても、自分一人での介護には限界があるということです。
厚生労働省によれば、要支援・要介護認定者は2021年度末で約690万人。2000年の約256万人から20年余りで倍増しています。介護は一時的なものではなく、長期にわたることも少なくありません。
さらに、介護は家族の仕事や生活にも影響します。2023年には、介護や看護を理由に仕事を辞めた人は約7万3,000人。長期介護は、心身の負担だけでなく、キャリアや収入にも影響を及ぼします。
実際に、介護のために退職した場合、収入の減少に加え、社会保険や年金の加入期間も影響を受け、貯蓄が減少しやすくなります。この結果、貯蓄を切り崩しながら生活することになり、貧困のスパイラルに陥るリスクも高まります。
親だからといって、すべての介護を背負うのは、自分自身の人生や心身をむしばむことになりかねません。それを介護される親側も理解し、積極的に介護サービスを使うことを考えるべきでしょう。
介護サービスや公的支援を活用することは、甘えではなく、責任ある選択です。今後、誰もが直面する可能性がある介護。早めの準備と理解が、家族が安心して暮らすための鍵になります。
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