年収1,000万円=高収入は確かだが…思い込みの罠
「1,000万円稼げる人はそういない」……そう考えていた勝史さん。確かに間違ってはいません。ですが、1,000万円はあくまで額面で、手取額ではないことに注意が必要です。
実は、年収1,000万円の手取額は想像するほど多くありません。年収から引かれる社会保険料などが年収額に応じて増えていくからです。一般的に年収1,000万円の手取額は約728万円。月収に換算すると約61万円です。
勝史さんには毎月の住宅ローンの返済が12万円あり、さらに新車を購入したことから毎月13万円の返済が上乗せされることになりました。つまり約61万円の手取りから25万円が毎月引かれる計算。残りの約36万円のうち、約10万円は交際費に消えていきます。
妻も勝史さんの昇給を聞き、エステやネイル、美容院など、自分磨きにお金をかけるように。美容代として月4万円程度を使っていました。
残る生活費は22万円。これだけあれば多少の貯金はできそうなものです。ですが、年収1,000万円=普通よりもずっと収入の多い勝ち組。そんな意識があり、節約をすることなく、過剰な支出が常態化するようになっていました。
娘の結婚費用を捻出しようとしたが、思わぬ事実に唖然
そんなときでした。同居していた娘が大学を卒業したころから付き合っていた男性と結婚することに。両家との顔合わせも済ませ、結婚式の日取りも決まりました。
式まではあと1年ほど時間があるものの、娘のために結婚費用を援助しようと妻に伝えた勝史さん。そこで、あまりの貯金の少なさに驚愕します。
なんと、通帳の残高は100万円程度しかなかったのです。娘が大学を卒業し、お金がかからなくなったはずなのに、あの頃からほとんど増えていない……。
普段、必要なお金は妻からもらい、大きな買い物はクレジットカードで済ませていた勝史さんは、初めてその現実を認識したのです。
