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再会した父の異変に「これは何かある」
年が明け、正月の帰省で実家を訪れたAさん一家。しかし、出迎えた父の様子は夏とは一変していました。やつれた顔、元気のない声、少しうつむきがちで笑顔もぎこちない。
「体調でも悪いの?」「麻雀教室、最近行ってる?」と尋ねても、「楽しいよ、大丈夫」とそっけない返事ばかり。明らかに何かを隠している雰囲気がありました。
父は昔から、嘘をつくのが下手な人でした。現役時代も、仕事で悩みを抱えるとすぐに態度に出る。何かあるに違いないと感じたAさんは、家族の目を避けるため、2階の父の部屋へと連れていきました。
そして、父の口から出てきたのは、Aさんが想像もしなかった告白でした。
きっかけは「麻雀仲間」から聞いた話だった
数ヵ月前、麻雀教室で知り合った同世代の男性から、「最近のシニア向けマッチングアプリはいいよ。若い世代ともやり取りできて、元気になる」と勧められたそうです。
「最初は半信半疑だったけれど、昔の『文通』に近い感覚で、誰かとやりとりできたらと思ったんだ……」
アプリを使い始めて間もなく、40代後半の女性からメッセージが届きました。聞けば、両親を早くに亡くし、年上の男性との会話が落ち着くのだとか。「お父さんみたいで安心する」。そんな言葉に、次第に心を開いていったと言います。
やりとりは毎日こまめに続きました。最初は何気ない日常会話。やがて、「実は事業を始めたい」「でも資金が足りない」といった話に変わっていきました。「あなたにしか頼れない」「絶対に裏切らないから」。
Aさんの父は、そんな言葉をすっかり信じて、生活費や貯金の一部を送金するようになったといいます。
