叔母が残した公正証書遺言の「まさかの内容」
和やかな親族の交流が復活した。その間、佐藤さん姉妹の母親も70代で死去。それから数年後、年齢を重ねた叔母はたびたび体調を崩すようになった。
「入院先にもかわるがわる通って、叔母が必要なものや、食べたがるものを届けたりしました。ですが去年の冬、風邪から肺炎を起こして、あっけなく亡くなってしまったんです」
病院で叔母を看取った佐藤さん姉妹は、親族や知人への連絡、葬儀の手配など、実の娘同様に対応を行った。しかしその後、驚くべき事実が判明したのである。
「叔母も、公正証書遺言を残していたんです」
その内容は「全財産は、亡き息子の配偶者である渡辺香織さん(仮名)に相続させる」というものだった。
「思わず『なんで!?』と、大きな声を出してしまいました」
遺言書には「息子の妻の香織さんに感謝します」とだけ記されていた。
なぜ血縁もなく、子どももいない、息子が死んですぐ家を出た息子の配偶者にすべての財産を残したのか――。佐藤さんはまったく見当がつかず、理由は今も「藪の中」だ。
「私や妹は、結構な頻度で叔母の家や入院先を訪ねていましたが、〈香織さん〉に会ったことはありません。そもそも、叔母がどれほどいとこの思い出話をしても、お嫁さんの名前なんて全然出てこなかったのに…」
そういうと、佐藤さんは唇をかんだ。
「祖父の遺言の内容を知った母の、傷ついた顔を忘れられません。財産がもらえないことではなく、祖父の愛情の偏りにショックを受けた、そんな様子でした」
「だから妹と、〈やっと相続できるね〉〈お母さんの財産が戻ってくるね〉って、葬儀のあとに話したのに…」
残念ながら、おいめいには遺留分がない。したがって、叔母の遺産は遺言書通りに手続きされ、亡きいとこのお嫁さんのものになる。
「あれほど跡取りにこだわって相続させた財産が、他家へ流れてしまうなんて…」
「納得できませんが、これが法律なんですよね。あきらめるしかありません」
相続の結末に納得できず、佐藤さんのように臍を噛む思いをした人もいるだろう。相続の問題は、しばしば想定外の着地となることもあるようだ。
[参考資料]
法テラス「遺留分とは何ですか。」
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
