ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
地価税とは何か
そもそも「地価税」とは何かについて説明します。
地価税は、平成3年(1991年)に「地価税法(平成三年法律第六十九号)」に基づいて創設された国税です。しかし、平成9年(1997年)以降は課税が停止されており、今日に至るまで実際には徴収されていません。なお、「地価税法取扱通達」は平成3年12月18日に制定されています。
現在のところ、租税特別措置法第71条により、「平成十年以後の各年の課税時期において、個人又は法人が有する土地等については、地価税法の規定にかかわらず、当分の間、地価税を課さない」とされており、課税は休止状態です。しかし、地価税法そのものが廃止されたわけではなく、法制度としては存続しています。
地価税法第22条によると、地価税の税額は「課税価格から基礎控除額を差し引いた残額に対して税率千分の三(=0.3%)を乗じて計算」されます。
この地価税は、所定の条件を満たす不動産を所有する個人または法人に課される国税です。これに対し、固定資産税はすべての不動産所有者に対して課される地方税であり、起源は明治期の「地租」にさかのぼります。その後、シャウプ勧告を受けて地方税として再構成され、現在に至っています。
地価税の主な課税要件は以下の通りです。
・面積が150平方メートル以上であること
・市街化区域または市街化調整区域に所在していること
・住宅用地以外の用途(例:農地、山林、空き地)であること
ただし、住宅用地であっても、事業用に賃貸している土地や商業用地などは課税対象となります。
地価税創設の背景
地価税は、バブル期に過熱した不動産投機を抑制し、土地の効率的な利用を促進するための施策として導入されました。しかし、バブル崩壊後の地価下落と経済環境の変化に伴い、実効性や負担感が問題視され、1997年以降は課税が停止されています。
地価税の創設から約35年が経過しました。当時の社会状況を知る世代は、すでに50歳代以上になっています。ちなみに筆者は、地価税導入直前、国税庁税務大学校で開催された国際租税セミナーの講師を務めていました。同校では、地価税の運用を担う職員の育成コースも設けられ、不動産鑑定士の資格取得などに向けた研修が行われていました。
地価税「復活」論
それでは、なぜ35年を経てなお、地価税復活が再び議論されているのでしょうか。
第一に、都市部を中心に地価が再び上昇傾向にあることが背景にあります。特に、都心部のマンション等が「資産としての値上がり」を期待して購入され、空室のまま放置されるケースが目立ってきました。いわゆる「ゴーストオーナー」の存在が問題視されており、マンションの管理や意思決定に支障を来す事例も出てきています。
第二に、地価上昇による課税強化や、いわゆる「103万円の壁」に関連する新たな税源確保の一環としての政策的意図があります。2024年12月、国民民主党の古川元久・代表代行が地価税復活の可能性を示唆しました。現時点ではこの意見に追随する動きはありませんが、不動産業界にとっては無視できない話題です。
さらに、2025年の参議院選挙では「外国人の不動産取得」が争点の1つとなりました。都心部の土地や高級マンションを外国人が投資目的で購入し、値上がり益を狙う動きが加速しています。こうした動きに対し、現在休眠中の地価税などを活用して規制や課税強化を図るべきではないかという声も出始めています。
現在、地価税は制度としては存在しながらも「休眠中」の状態です。しかし、地価上昇や空室問題、外国人による不動産投機の増加といった新たな社会課題の出現により、税制の見直し論議が再燃する可能性は十分にあります。地価税が再び「目を覚ます」日は来るのでしょうか。今後の政策議論に注目が集まります。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
企業オーナー・医療法人のための
事業と個人の安心を守る「グローバル資産戦略」
>>>12月11日(木)ライブ配信
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/9開催】
「資産は借りて増やせ!」
3年間で延べ1,500社以上を担当した元銀行トップセールス社長が語る
“新規事業×融資活用”で資産を増やすレバレッジ経営戦略
【12/11開催】
企業オーナー・医療法人のための
事業と個人の安心を守る「グローバル資産戦略」
〜実例で学ぶ 経営資産の防衛と承継設計〜
【12/13-14開催】
不動産オーナーのための「法人化戦略」
賢いタックスプランニングで“キャッシュを最大化する”方法
