●日米関税交渉合意と石破首相月退陣表明の報で国内市場は株高、長期金利上昇、円安に。
●関税を巡る不透明感の払しょくは日本株に強い追い風、この日は自動車株の大幅高が目立った。
●日経平均は終値で41,000円台を回復、今後は改めて与党の政権運営や政策方針に要注目。
日米関税交渉合意と石破首相8月退陣表明の報で国内市場は株高、長期金利上昇、円安に
トランプ米大統領は日本時間7月23日の午前8時過ぎ、日本と関税交渉で合意したと自身のSNSで発表し、日本が米国に5,500億ドルを投資することや、自動車や農産物の市場を開放すること、そして日本への相互関税が15%になることなどを明らかにしました。また、焦点となっていた自動車に対する関税については、15%で合意したと報じられました(鉄鋼・アルミ製品は50%で据え置き)。
関税交渉は難航が続くとの見方もあったため、早期合意と自動車関税引き下げの報はポジティブ・サプライズになりました。この日の日経平均株価は上昇して取引が始まり、新発10年国債利回りも上昇、ドル円は方向感を欠く動きとなりました。その後、石破茂首相が8月までに退陣を表明との報道(石破首相は否定)を受け、日経平均は前場の引けにかけて一段高、新発10年国債利回りも一時大きく上昇、ドル円はドル高・円安の反応となりました。
関税を巡る不透明感の払しょくは日本株に強い追い風、この日は自動車株の大幅高が目立った
参院選の結果がおおむね想定内となり、市場は8月1日に期限が迫る日米関税交渉と与党の政局運営や政策方針を見極める流れになりましたが、関税交渉と石破首相の進退について、早々に一応のめどが立ったと受け止めた市場は大きく動意づきました。特に関税交渉の合意は、関税を巡る不透明感が払しょくされたことで日本株には強い追い風となり、7月23日の株式市場では自動車株の大幅高が目立ちました。
弊社は今回の関税合意により、日本のGDP成長率は0.41ポイント押し下げられるとみています(波及効果を含む暫定的な試算)。従来は0.62ポイントと想定していたため、押し下げ効果は0.21ポイント軽減することになります。ただ、弊社の経済見通しへの影響はそれほど大きくなく、日銀の追加利上げの時期(弊社は2026年4月と10月を予想)への影響も限定的と考えています。
日経平均は終値で41,000円台を回復、今後は改めて与党の政権運営や政策方針に要注目
石破首相自身は否定したものの、石破首相の退陣表明の報道を受け、後任による積極財政への思惑が広がった模様で、国債市場や為替市場では財政悪化を警戒する動きがみられた一方、株式市場では景気刺激を期待する声も聞かれました。なお、仮に石破首相が辞任し、自民党総裁選挙が行われた場合、現在の主流派では林芳正氏、加藤勝信氏、小泉進次郎氏、非主流派では高市早苗氏、小林鷹之氏、茂木敏充氏が有力な候補者と思われます。
石破首相の意向次第では、8月か9月に総裁選が行われ、新総裁のもとで10月以降の政治日程が進められることも想定されます(図表1)。日経平均は7月23日に終値で41,000円台を回復しましたが、先行きの相場を展望するにあたっては、日米関税交渉が早期合意に至ったこともあり、今後は改めて与党の政権運営や政策方針(図表2)を見極めていくことが重要と考えます。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日米関税交渉合意を受けた日本株上昇後の要点整理【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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