年商10億超の企業はわずか3%、創業10年後は90%廃業する、起業の世界。事業が順調なほど、破綻リスクが高まるのはなぜか?【税理士が解説】

年商10億超の企業はわずか3%、創業10年後は90%廃業する、起業の世界。事業が順調なほど、破綻リスクが高まるのはなぜか?【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

創業されてから、5年後に生き残っている会社は約20%、10年経過した時点ではなんと約90%が廃業してします。そのなかでも、年商10億円を超える企業はわずか約3%です。そこで本稿では、菅原由一氏による著書『改訂版 会社の運命を変える 究極の資金繰り』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集し、企業を成長させるための経営について詳しく解説します。

現金の流れを計算する「キャッシュフロー経営」

多くの経営者が口をそろえて「キャッシュフロー経営を意識するのが大切だ」といっています。

 

キャッシュフローとは日本語に直すと「お金の流れ」。つまり、現金が事業を行うなかでどう動いていくかを把握し、その流れに注意する経営がキャッシュフロー経営ということになります。

 

それではなぜ企業にとってキャッシュフローが重要なのでしょうか。

 

会社には、さまざまなお金の悩みがつきものです。例えば、事業が順調なほど破綻リスクも高まるケースはまさにその代表といえます。会計の帳簿上では利益がでているが、人件費や税金、仕入れ代金などの支払のための現金が足りないなどというのは、急成長期の企業にはよくあります。

 

「勘定合って銭足らず」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。

 

仕事が忙しく帳簿上は儲かっているのに資金繰りが苦しく、必要な支払のために金融機関からお金を借りるということです。

 

払うべきものを払わなければならないのは当然のことですが、なかでも絶対待ってくれない支払の代表に税金があります。ただ、納税は時期が決まっているものですから、決算が黒字である以上、少なくとも納税資金くらいは自己資金でまかなうのが大前提。

 

儲かったうちからあらかじめ必要なキャッシュを準備しておかなければいけません。

 

そもそも資金繰りとは、入ってくる売上(キャッシュインフロー)と支出(キャッシュアウトフロー)を相殺しながら、各タイミングで会社にどれだけの現金があるかを考えることです。

 

売上入金などキャッシュが入ってくるキャッシュインと、支払などのキャッシュがでていくキャッシュアウトを一定の期間内でまとめ、会社のキャッシュの流れを計算するのがキャッシュフロー計算書(キャッシュフロー・ステイトメント:CS)です。

 

財務諸表では損益計算書(プロフィット・アンド・ロスシート:P/L)と貸借対照表(バランスシート:B/S)がもっとも基本的なものとされてきましたが、比較的新しい考え方として登場してきたキャッシュフロー計算書は、いまやその2つの表と同じくらい重要なものとして注目されるようになってきています。

 

その理由は単純です。会計上の数字は資産や負債の評価や収益や費用の発生などによって変化する、ある意味で「会計のルール」であるのに対し、手元にあるキャッシュは実際にそこにある「現実」のもので、事実を正確に表しているからです。

 

キャッシュフロー経営とは、簡単にいってしまえば現金の流入と流出という「お金の動き」を重視したシンプルな経営ともいえます。しかも、その経営方法を突き詰めていけば、最終的には会社経営に付きまとうお金の悩みから解放されるのです。

 

例えば、支払わなければならないのにキャッシュが足りない、あるいは、必要なキャッシュをどこからさがしてこよう、などといった心配事をなくすことができます。

 

 

菅原 由一
SMG税理士事務所 代表税理士

 

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※本連載は菅原由一氏による著書『改訂版 会社の運命を変える 究極の資金繰り』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋・再編集したものです。

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