老後資金に余裕があるAさん「使い切りたい」と考えたワケ
60歳で退職したAさん(仮名)は当時、資産8,500万円を保有していました。長年の貯金、退職金、そして親からの相続分を含めた額です。独身で子どもなどの相続人がいないAさんにとって、老後資金の不安はまったくありませんでした。むしろ、このままでは使い切れないと考えたといいます。
「使わずに死んだら、お金は国に取られてしまう。それだったら好きに使って楽しもう。あの頃はそう考えていたんですよね」
Aさんは、さっそく老後を謳歌する生活をスタートさせたといいます。 まずは30代で購入した自宅マンションをフルリフォーム。壁紙から床材、最新のキッチンに至るまでこだわりの改装を行い、家具もイタリア製の高級ソファやデザイナーズチェアに買い替えました。
さらに、憧れの高級ドイツ車を新車で購入。腕時計はスイスのブランド、洋服もカジュアルからスーツまで百貨店で買い揃え、まさに「独身貴族」を地で行く生活に突入。海外旅行はファーストクラスやビジネスクラスで渡航し、現地では五つ星ホテルに宿泊。「人生のご褒美」を満喫しました。
こうした散財はAさんの金銭感覚を狂わせていきました。日常的な買い物も「まあ、いいか」で財布のひもが緩みっぱなし。60歳から65歳までは無収入だったこともあり、貯蓄は猛スピードで減少しました。
「5年で貯金は半減しました。ただ、それでもまだ4,000万円以上あるし、年金も月16万円もらえます。でも、ある程度買ってしまえば物も欲しくないし、やりたいこともなくなっていって。無駄遣いをしているような罪悪感が出てきたんです」
似たような境遇のBさんとの出会い
そんな時、Aさんはゴルフ仲間を介して、6歳年上のBさんと知り合いました。Bさんもまた独身で近しい親族はおらず、潤沢な資産を持つ身。お酒を酌み交わしながら、Aさんは「お金を使い切ろうと思って楽しんできたけれど、もうそんなに欲しいものもやりたいこともなくて」と、冗談めいて話したといいます。
しかし、Aさんとは大きく異なる考え方をしていました。Bさんは資産を自分で使い切る気はまったくないというのです。
「自分のためにお金を使うのって、限界があると思うよ。僕は70代に入って食欲も体力も落ちて、物欲もなくなってきた。それもあって、やっぱり最後は社会の役に立ちたいという気持ちが出てきた。ただ、何に使われるかわからないのは嫌だから、信頼できる寄付先やプロジェクトを調べて少しずつお金を回しているところ。それが自分の生きた証になればと思ってね」
どうせ自分一人、死んだら終わりと思い散財を重ねてきたAさんは、Bさんの話に大きな感銘を受けたと言います。
「お金を自由に使うこと、最初は確かに楽しかったけれどむなしさを感じるようになっていました。それは『良い使い方、意味のある使い方』をしていないからなんじゃないか。そう思うきっかけになったのが、Bさんとの会話だったんです」
散財から目覚め、第二の人生設計へ
その後、Aさんは自分の家計を改めて見返しました。これまで十分お金を自分のために使ってきた。しかし、それだけで本当にいいのか……。考えた結果、Aさんは家計の立て直しを決意。散財をやめ、生活レベルを少しずつ元に戻しながらも、何のためにお金を使うかを真剣に考えるようになりました。
そして、信頼できる団体、未来の子どもたちのためになるプロジェクト、災害支援など。寄付先や社会貢献について調べ始めたといいます。
「こうやって調べると、本当に色々な可能性があるんだと思いました。昔は『お金持ちってなんで最終的に寄付にお金を使うんだろう』と思っていましたが、今じゃその理由がなんとなくわかるようになりました。正直、浪費したせいでそれほど資金に余裕があるわけじゃないんですが、それでも多少は役に立てるでしょう。もっと早く自分でこの考えにたどり着いていればと少し後悔もしていますが、自分のために散々お金を使ったからこそ、こう思えているのかもしれませんね」
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