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戸籍謄本で明らかになった衝撃事実
頭が真っ白になりながら、Aさんは病院を飛び出し、近くのコンビニへ走りました。マルチコピー機で、夫の戸籍謄本を取得します。そこに記された「認知」の二文字と、見知らぬ子の名前に、全身の血の気が引いていくのがわかりました。認知日は、10年も前。
なぜ、気づかなかったのか。……いや、気づけるはずがなかったのです。結婚して数十年、パスポートの更新でもない限り、戸籍謄本を取り寄せることなどありません。息子の結婚のときも、手続きは夫と息子に任せきりでした。なによりも、Aさん自身が、愛する夫を疑うことなど微塵もなかったのですから。
知らなかったのは妻だけ
葬儀社の手配など、やるべきことは山積みのはずなのに、なにも手につきません。息子(40歳)の支えでなんとか葬儀を終え、Aさんはやっとの思いで事の次第を打ち明けました。
しかし、息子の口から返ってきたのは、さらなる衝撃の事実。
「……ごめん、お母さん。俺は、自分の結婚のときに戸籍をみて、その人の存在に気づいた。お父さんには、お母さんが可哀想だから絶対に黙っていたほうがいいといったんだ」
息子は当時、父を問い詰めたといいます。お見合い結婚だったAさん夫婦。父は、Aさんのことが嫌いになったわけではないが、生涯でただ一人、Aさんとの結婚前に、心から愛した女性がいたと。事情があって結ばれなかったその女性とのあいだに子どもがいたことを10年前に知り、父親としての責任を果たすために認知したのだと聞いたようです。
息子は「法律で決まっている相続人だから、仕方ないよ」と、諦めたようにいいました。
周囲から「素敵な夫婦」などと羨望の眼差しを向けられ、それをなによりの誇りに思っていたのは、自分だけだったのか――。残酷な真実に打ちのめされていたAさんに、追い打ちをかけるように、夫が公正証書遺言を遺していたことが判明します。もう、争う気力など残っていませんでした。
遺言書の付言に記されていたこと
遺言の内容は、夫の言葉通り、認知した子にも財産をわけるというものでした。しかし、その最後に、「付言事項」として夫の直筆を写した一文が添えられていました。
『長年、内助の功として家庭を守り、私に尽くしてくれた妻、Aに心から感謝している』
その一文を読んだ瞬間、夫が亡くなってから一度も流れなかった涙が、とめどなく溢れ出てきました。裏切られたという事実は消えません。この現実を受け止めるには、まだ長い時間がかかるでしょう。
それでも、Aさんが捧げた人生が、決して無駄ではなかったこと。夫が、Aさんの存在を当たり前だと思わず、感謝してくれていたこと。その事実だけが、いまのAさんの唯一の救いとなっています。
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