停戦後も根強く残る中東の地政学リスクへの懸念
イスラエルとイランの紛争は、トランプ大統領の仲介によりひとまず停戦に至りました。両国による攻撃の応酬によって一時は懸念されたホルムズ海峡の封鎖リスクは足元では低下しており、原油や液化天然ガス(LNG)の市況も徐々に落ち着きを取り戻しつつあります[図1・4・5]。


この停戦合意により、中東情勢がさらなる紛争激化に発展する事態は回避されたものの、中東地域の地政学リスクに対する投資家の懸念は根強く残る可能性があります。
特に今回のイスラエル・イラン間の衝突では、ホルムズ海峡の封鎖が現実的なリスクとして浮上したことで、地政学リスクを回避するためのエネルギー調達の多様化・分散化の重要性が改めて浮き彫りとなりました[図2]。

為替市場では再び米ドルの信認問題が焦点に
為替市場では、地政学リスクの高まりを受けて、6月中旬にかけて一時的に米ドルへの資金逃避(米ドル高)の動きが見られました。しかし、中東情勢が徐々に安定に向かう中で、市場の関心は再び「米ドルの信認問題」や「米ドルからの投資先の分散」へと移りつつあります。
実際、イスラエルとイランの停戦合意後、為替市場では米ドル指数が年初来の安値を更新するなど、米ドル安圧力が再び強まっています[図3]。こうした米ドル安の進行が続く環境下では、通貨分散の観点から豪ドルへの投資を再評価する余地があると考えられます。
【関連マーケットレター(2025年6月16日付)】
「米ドルの信認問題を背景に注目集まる豪ドルの行方」

世界の中銀も注目する豪ドルへの分散投資
6月24日に公表された公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)の報告書によると、世界の中央銀行は今後12~24ヵ月の外貨準備の運用方針として、米ドルに偏ったポートフォリオの分散化を進める意向を示しています。
今後の方向性としては、外貨準備資金の米ドルからの分散の受け皿として、ユーロや円に続いて豪ドルが有望な資金シフト先になると見込まれています[図6]。

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